渋谷で「5000円乗り放題」を始めて、どんなことが分かってきたのか:週末に「へえ」な話(2/3 ページ)
長距離バスの運行などを手掛けているWILLERが「月5000円で乗り放題」のサブスクプランを打ち出したところ、利用者がじわじわ増えている。4カ月ほど運営してみて、どんなことが見えてきたのかというと……。
停留所をどこに設置するか問題
mobiを4カ月ほど運営して、見えてきた課題もある。それは「停留所をどこに設置するか問題」だ。サービスを始める前、そのエリアにどういった属性の人たちが住んでいるのか、その人たちは普段どういった移動をしているのか、子育て世代の人たちはどのような悩みを抱えているのか。調査データだけでなく、ヒヤリングなども行って、停留所をきめ細かく設置した。
駅、商業施設、学校、スーパー、コンビニなど、多くの人が利用するところを予想して、停留所を決めていき、その数は100カ所に達した。半径2キロメートルほどの移動を考えると、「100カ所は多すぎるのでは?」と思ったが、ユーザーの反応は違った。「こっちにも停まってほしい」「10メートルずらして」などの声がたくさん出てきて、いまは150カ所に。
事前調査では見抜けなかったところに、停留所を設置していったわけだが、今後はどうするのか。エリアは限定されているので、無制限につくるわけにはいかない。使われていないところをあぶりだして、精査していくことも考えられるが、担当者の成島千絵さんは「データを見ると、まんべんなく利用されていまして、統廃合することが難しい。ただ、どんどん設置していくと選択肢が増えてしまって、逆に使いにくくなることも考えられるので、停留所はどこに設置するのがベストなのかを模索しながら、進めていかなければいけません」という。
例えば、渋谷駅は利用者が多いので、停留所をたくさん設置している。だが、絞り込みすぎると、JRを利用している人にとっては便利だけれども、東急や京王を使う人にとっては不便になることも考えられる。また、駅周辺は一方通行の道路がいくつかある。アプリの地図を見ると、直線距離は近いのに、クルマに乗ると遠回りしなければいけないところもある。道路の反対側から乗車すれば目的地に速く着くところもあるが、現時点のシステムで利用者に「〇〇に行くのであれば、〇〇停留所から乗ってね」といったオススメ機能は搭載されていない。
このような話をすると、「地元の人が利用しているのであれば、慣れているはずなので、そんな機能はいらないでしょ」と思われた人もいたかもしれない。しかし、初めて行くところであったり、方向音痴の人であったり、複雑な道路事情もあったりするので、よりスムーズな移動を考えれば「最適な停留所をオススメしてもらいたい」と思っている人もいるはずなので、開発が急がれる。
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