丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
「消費者をだましていた」という汚名
さらに遺恨を深めたのが、トリドールHDの栗田貴也社長が、テレビ番組に出演し、丸亀製麺誕生ストーリーを語ったことに端を発する騒動だ。
栗田社長によれば、田舎が香川ということもあって、讃岐うどんブームの現場を間近に見たことがあるそうだ。名もない小さな製麺所に、県外から車で食べにやって来て、お茶碗を持った人たちで行列ができるという光景を見たことにインスパイアされたという。こうしたエピソードを語ったところ、「讃岐うどんブーム」を仕掛けた張本人である、「麺通団」の団長である田尾和俊・四国学院大学教授がブームの現場でそのようなシーンは一度も見たことがないと断言し、このような痛烈な批判を展開したのである。
『おそらく丸亀製麺が今、全国ネットのCMでバンバン流している「丸亀製麺は全ての店で粉から作る」というコンセプトをサポートするために後付けで加えたウソのストーリーとロジックではないかと思う』(麺通団公式ブログ 2019年9月14日)
「へえ、そんなことがあったのか、丸亀製麺を毎週のように利用していたけど全然知らなかった」と驚く人もいらっしゃるかもしれない。筆者が懸念しているはまさしくそこだ。
つまり、これから丸亀製麺が国内外に店舗網を拡大して、「日本を代表する讃岐うどん」という評価が高まれば高まるほど、このような批判に注目が集まり、「消費者をだましていた」という汚名を着せられてしまう恐れがあるのだ。
分かりやすい例が、中国における「味千ラーメン」だ。この豚骨ベースの熊本ラーメンチェーンは、中国で大人気を博して10年には中国国内で500店舗を展開、かの国の「日式ラーメン人気」の立役者ともなったが、ほどなくして店で提供している豚骨スープが、工場で煮込んだ濃縮液を沸騰したお湯に入れるということが発覚、中国のユーザーから”豚骨スープゲート事件”などと揶揄(やゆ)されるほど大きな問題となった。
中国の消費者の間には、「日本のラーメンは手間隙をかけている」というイメージが強く、それぞれの店で豚骨を何十時間も煮込んでてスープをつくっているというイメージが勝手に広がっていた。しかし、フランチャイズで中国全土で500店も展開するとなると現実的には、調理の効率化もしなくてはいけないし、味のクオリティーも各店で同じものにしなくてはいけない。
この事例から学ぶべきは、消費者側にあまりに高い期待感を抱かせすぎてしまうと、ストーリーに少しでも穴があった場合に「信頼を裏切られた」などと痛烈な批判に発展してしまうということだ。
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