丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
「讃岐うどん」の看板
さて、ここまで言えば、筆者が何を言いたいのか分かっていただけたのではないか。日本国内のみならず世界で「丸亀製麺=讃岐うどん」というイメージが広がれば当然、中国や欧米の外国人の熱心なファンの中には、「実際に日本のうどんの聖地に行って、本場の丸亀製麺を食べよう」となる。
しかし、丸亀市に行っても、丸亀製麺などどこにもない。それどころか、地元の讃岐うどん関係者からは、「ウソのストーリーとロジック」を広めたなどと言われている。この驚愕(きょうがく)の事実を知った「丸亀製麺ファン」はどう思うか。
「だまされた」と感じるのではないか。そして、自国に戻って、「おい、知ってるか、丸亀製麺って讃岐うどんじゃないらしいぞ」と人に伝えるだろう。日本のユーチューバーのように、スキャンダルをあおるスタイルのインフルエンサーならば、「豚骨スープゲート事件」ならぬ「讃岐うどんゲート事件」だなどと叩く恐れもある。
こういうリスクが控えている中で、「讃岐うどん」という看板に固執し続けるメリットはほとんどない。
ぶっちゃけ今、丸亀製麺へ通っている客の多くは、味、メニュー、ボリューム、価格、接客、店内の過ごしやすさなどを総合的に評価をして利用している。「讃岐うどんだから」ということで店を利用するのはそれほど多くないはずだ。
実際、先ほど申し上げたようにこの10年間、定期的に“丸亀製麺、実は丸亀と全く関係ナシ問題”が炎上して、「あれは讃岐うどんではない」という痛烈な批判も持ち上がるが、そのことによって丸亀製麺で閑古鳥が鳴いているなんて話はほとんど耳にしない。
影響がないのなら、そこまで固執する必要はない。「丸亀」は屋号なので今さら変えると、客の認知度が下がってしまうので致し方ないとしても、「讃岐うどん」に関しては、掲げれば掲げるほど本場の讃岐うどん関係者との溝を深めて、余計な批判を招くだけでメリットは少ない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜ飛行機の“中古”部品が売れているのか JALのカプセルトイが7時間で完売
飛行機の部品をカプセルトイで販売したところ、航空ファンを中心に話題になっていることをご存じだろうか。JALの整備士が手掛けていて、2〜3日で完売。なぜ人気を集めているのか、担当者に話を聞いたところ……。
なぜ群馬に“謎コンビニ”ができたのか ゼンショー「実験店舗」の正体
ゼンショーHDが群馬県内で展開しているコンビニ「さくらみくら便利店」が話題になっている。コンビニ業界は寡占化が進んでいるのに、このタイミングで参入して存在感を示すことができるのだろうか。
“売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。
「安くてうまい」をキープした“企業努力”が、庶民を長く苦しめてきたワケ
ステーキや牛丼などが続々と「値上げ」をしている。世界的に肉の生産が落ち込み、供給が追いつかないことが原因だが、多くの外食チェーンは長きにわたって価格を据え置いてきた。その結果、何が起きていたのかというと……。
なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
