ナチュラルローソンの「量り売り」 コロナ禍で模索されていた「エコ」以外の役割:あの会社の「SDGs」(2/2 ページ)
「ナチュラルローソン」が、洗剤やドライフルーツの「量り売り」を一部店舗で実施している。第1の目的はプラスチック削減だが、コロナ禍では新たな収益源として活用することも想定されていた。
エコ以外の役割とは
ナチュラルローソンは「女性を中心に『美しく健康で快適な』ライフスタイルを身近でサポートするお店」というコンセプトを打ち出していることもあり、女性の利用客が多いのが特徴だ。
ローソンの新たな環境ビジョンを受け、鷲頭部長は実施できることを考えた。「ナチュラルローソンには、環境意識の高いお客さまが多い。普段購入している商品を、好きな量だけほしいというニーズがあるのではないかと考えた」と説明する。量り売りの対象となった食器用洗剤や洗濯用洗剤は、ニュージーランド発のナチュラルディリーケアブランドである「ecostore(エコストア)」の商品だ。もともと店舗で取り扱っていた商品でもある。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、家で過ごす時間が増加。洗濯をする頻度が増えたため、20年7月における洗剤カテゴリーの売り上げが前年比で2割以上増えたということも背景にある。
現在、量り売りサービスはどのような人が利用しているのか。購入する人の8割が女性であり、40〜50代のリピーターが多いという。リピーターは自分で用意した容器を持参するケースが多い。また、住宅地付近にある店舗では、子どもと親が一緒に購入する姿も見受けられる。“量り売り”という行為自体を親子で楽しむシーンが考えられる。従来の販売方法と比較すると、約79%のプラスチック使用量削減につながっている(21年10月実績)。
鷲頭部長によると、当初は“エコ”以外の狙いもあったという。ナチュラルローソンは首都圏を中心に展開しており、ホテルの近くにある店舗も多い。東京オリンピックの開催を控えていたこともあり、訪日外国人が「必要な量だけ購入したいというニーズがあるのではないかと考えた」(鷲頭部長)。また、病院の近くにある店舗では、入院患者などが少量のシャンプーや洗剤を購入するケースも想定していた。
新しい収益源として育てる構想もあった。量り売りサービスを開始した当初は、感染防止のため店内のイートインスペースが相次いで閉鎖されていた。コロナ禍がどれほど長引くのか、見通せない状況でもあった。そこで、使われなくなったイートインスペースで、量り売りサービスを提供することも考えていたという。現在はイートインスペースの利用を再開している店舗もあるが、感染状況によっては人と接触する機会の少ない売り場として導入が進んでいたかもしれない。
今後の目標について鷲頭部長は「ナチュラルローソンだけでなく、(コンビニの)ローソンへの導入も進められれば」と語る。従来のコンビニにはないサービスとして、利用者の支持を得られるか。
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