アナリスト156人が選ぶ2022年の世界的なテーマ:フィデリティ・グローバル・ビュー
フィデリティ・インターナショナルの多くのアナリストは2022年の重要テーマとして、パンデミックからの回復を挙げています。フィデリティが実施した「アナリスト・サーベイ 2022」の一部をご紹介します。
インフレと地政学的リスクにより、年明けから市場は大荒れとなりました。こうした不安は折に触れ、今後も市場を揺さぶり続けるでしょう。しかし、フィデリティのアナリストは別の視点も持っています。彼らは2022年のテーマとして、新型コロナウイルスがもたらした2年に及ぶロックダウンとパンデミック(世界的大流行)による混乱からの世界経済の立ち直りという点も見逃してはならない、と考えています。
フィデリティのアナリスト156人を対象とした最新の調査では、2022年の世界的なテーマとして「パンデミックからの回復」がトップになりました。「インフレ」「金利」がその後に続きました。ヘルスケア担当のアナリストは「オミクロン株は世界に急速に広がったが、一方で新型コロナのエンデミック(特定地域での流行)への道筋も付けた」と指摘しています。
しかし、地域によって重要なテーマには違いもあります。北米とアジア太平洋地域(日本、中国除く)のアナリストが「パンデミックからの回復」を重視する一方、欧州と日本のアナリストはともに「インフレ」をトップのテーマに掲げています。欧州と米国では物価上昇率が過去40年で最高となり、英イングランド銀行は利上げに踏み切りました。米連邦準備制度理事会(FRB)は資産買い入れの終了と利上げを示唆しています。
欧州中央銀行(ECB)や日本銀行は、長期にわたる低インフレが重荷となり、こうした動きへの追随を迫られているわけではありません。
中国では、さまざまな懸念が不動産業界や中国全体の成長に対する不透明感を強めています。「不動産セクターへの懸念だけでなく、他の経済への潜在的な波及効果も経済活動の重荷になっている。見通しはかなり複雑だ」(中国担当アナリスト)
セクター別に見て目を引くのは「2022年はESGと脱炭素化が主役になるだろう」と述べている電力担当アナリストの意見です。電力セクターは、よりサステナブル(持続可能)な再生可能エネルギーの電力市場を実現するため、多額の資本を新規に調達する必要があります。新興国市場を担当する電力担当アナリストは「脱炭素化の流れは毎年、前の年や市場予想を上回るスピードで加速し続けている。インフレはしばらく続くというのが一般的な見方だ」としています。
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