「お金に人生をコントロールされている」日本は国際比較で最多 フィデリティ調査
フィデリティ投信はお金の面での幸福度を評価する国際調査結果を発表した。それによると、日本人の7割超が「経済的な安定が幸せ」だと回答し、これは国際比較で最高値だった。英国、ドイツ、カナダ、中国では、過半数が「幸せは経済状況に左右されない」と答えている。
フィデリティ投信は、お金の面での幸福度を評価する国際調査結果「フィナンシャル・ウェルネス・スコア」を発表した。それによると、日本人の7割超が「経済的な安定が幸せ」だと回答し、これは国際比較で最高値だった。英国、ドイツ、カナダ、中国では、過半数が「幸せは経済状況に左右されない」と答えている。
お金を非常に重視して考える人が多い一方で、これはお金周りが思ったようにいかないことの裏返しでもある。「お金に自分の人生をコントロールされている」と感じている人の比率は、36%にのぼり、これも国際比較で最多だった。自分の経済状況について、「極度」「かなり」ストレスを感じる人の比率も27%にのぼり、国際比較で最多となった。
ただし、これは日本人がお金の面で恵まれていないことを意味するわけではない。収入と支出の関係や、負債レベル、資産形成への取り組みなどから導いた客観的な評価と、主観的な自己評価には大きなギャップが出た。
客観的にも主観的にもお金に不安がない人は、日本人回答者の35%を占めた。一方で、実際の懐事情は悪くないのに不安を感じてしまっている「自信欠乏ゾーン」の人が、最多の38%となった。この傾向は年収が高いほど強くなり、年収700万円超では自信欠乏ゾーンが47%にのぼった。
自信欠乏ゾーンの比率を国際的に比較すると日本が最多だ。また、客観的には問題があるのに、主観的に自己評価が高い「自信過剰ゾーン」の比率は、日本が最低だった。客観的な評価と自己評価が異なる、ミスマッチが一番多いのが日本であり、フィデリティは「自分の状況が理解できるツールや可視化に優れた制度の拡充が求められる」としている。
この調査は2020年3月から5月にかけて、日本、英国、ドイツ、カナダ、香港、中国の6カ国・地域に住む、20〜75歳の有職者またはその配偶者、約1万7000人を対象とし、主にオンライン形式で行われた。日本では2393人を対象として行った。
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