日本のお菓子を海外に届けるサブスクが絶好調 後発のベンチャー企業が世界シェアトップクラスになった理由:創業6年で年商40億円(6/6 ページ)
都内の日系ベンチャーが手掛ける、日本のお菓子や雑貨を届ける海外向けのサブスクサービスが外国人の大きな注目を集めている。運営元のトップに取材した。
「売り上げ100億円企業に」
最後に、ビジネス展開の将来像について聞いた。近本社長はECサイトをはじめとした自社サービスを「ジャンルに限らず、日本が誇る文化的なものは何でもそろう場にしたい」と意気込む。最近は通常のお菓子だけでなく、伝統的な和菓子もユーザーに好評だという。
「海外に出たことがない小規模な地方のメーカーもあり、取引先からは『海外ユーザーに喜ばれるとは夢にも思わなかった』など販路の拡大で喜ばれることが増えた。ECだと観光客が来なくても売り上げが出るので、今後は自治体と協力して、地方メーカーの魅力を積極的に発信していきたい」(近本社長)
ビジネスの拡大に伴い、同社を取り巻く環境も変化している。これまでは自社で商品を仕入れていたが、最近は製造元のメーカー側からオリジナル商品の企画提案を受ける機会も増加。一部の企業とは限定商品を実現させ、新たな仕入れの形が生まれつつある。
昨今、クラウドファンディング限定で新商品を販売し、需要動向を調査した上で、一般販売につなげるマーケティング手法が増えている。近本社長は「海外だとどんなものがウケるかという相談をメーカーからもらうことが増えた」と明かし「今後は商品開発などにも取り組み、3〜5年で売り上げ100億円を目指す」と意欲を見せた。
日本発のサブスクサービスとして世界から支持を集めているICHIGO。同社が運営するECサイト限定の商品が増え、需要動向の調査ツールとしての有効性を確立することができれば、ユーザーや企業にとって、Amazonのような、日本のお菓子や雑貨専門のプラットフォームになる可能性を秘めている。同社の今後の動向に注目が集まりそうだ。
話し手:近本あゆみ(ちかもと・あゆみ)
1984年生まれ。兵庫県出身。2009年早稲田大学卒業後、新卒でリクルートに入社。「ホットペッパービューティー」の営業や共同購入型クーポンサイト「ポンパレ」の立ち上げなどを担当する。退職後、約1年半、美容室等の集客コンサルティングや美容媒体のフリーランスディレクターに。仕事は軌道に乗るも「スケールの大きな仕事をしたい」と起業を決意。リクルートでのECの事業経験から「日本のお菓子は海外の幅広い人に受け入れられる」と考え、2015年にmovefast(現ICHIGO)を創業。現在、CEOとして「TokyoTreat」など6サービスを手掛ける。2児の母でもあるワーキングマザー。
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