日本のお菓子を海外に届けるサブスクが絶好調 後発のベンチャー企業が世界シェアトップクラスになった理由:創業6年で年商40億円(5/6 ページ)
都内の日系ベンチャーが手掛ける、日本のお菓子や雑貨を届ける海外向けのサブスクサービスが外国人の大きな注目を集めている。運営元のトップに取材した。
コロナ禍で流通停止 倉庫には在庫の山
コロナ禍で、自宅で過ごす時間が増えたことで、ユーザー数が増えたとされるサブスクだが、同社は“地獄”も経験した。コロナ当初、国際便の発送が停止したのだ。自宅時間の増加で海外からの注文が大きく伸びる一方で、梱包済みの箱が出荷待ちの状態で倉庫に山積みとなった。既に発送した箱の多くも倉庫に戻ってきたこともあり、倉庫には最大で2万箱が積み上がった。
そうした絶望的な状況の中で生きたのが、リクルート時代に培った営業経験だった。近本社長は、これまで活用していた発送業者に代わる新規開拓をするチャンスだとポジティブに捉え、片っ端から関連業者に連絡。代替業者を無事に見つけ、危機的状況を脱した。
コロナの状況が落ち着くとともに、流通網の状況も改善。ユーザー数が増えるという一時の危機的状況とは真逆の状況も経験した。近本社長は「こういうのはスピードが命。突破力がないと今の時代は厳しいと痛感した」と振り返る。
配送インフラの充実と米国での認知度向上が課題に
さまざまな困難を経て、日本人の社長と日系企業ならではの丁寧なサービスを武器にシェアを拡大してきた同社のサービスだが、課題もある。近本社長は配送インフラの充実を課題に挙げた。
昨今、越境ECが注目を集めている一方で、海外配送に対応した配送業者は限られていることから配送コストも高くなりがちだ。このため、同社は現在、配送業者とともに新たな配送プランの企画や配送先の新規開拓を検討している。自社の配送コスト低減だけでなく、越境ECの参入障壁も低くなるためだ。
「(越境ECへの)参入業者が増え、配送量が増えるほど、配送料金も下がるのでライバルとは思っていない。むしろ、日本全体で越境ECを盛り上げるためにも一緒にやっていきたい」(近本社長)
メイン市場である、米国でのビジネス拡大にも意欲的だ。今後、注力したいエリアに対する問いに対し「エリアを広げたいとは思ってない。まだまだ米国民にサービスが認知されていないのが現状」と指摘。「オンラインマーケティングに注力してきたが、米国でのシェアは全然取り切れていない。コロナの状況が落ち着けば、メディアマーケティングや、ポップアップショップなどのオフラインマーケティングにも挑戦したい」とし、認知度の向上や更なるシェア拡大を目指す。
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