モルテン製サッカーボールがW杯アジア最終予選の公式球に選ばれた理由(2/2 ページ)
3月24日に豪州シドニーで開催された、W杯アジア最終予選「オーストラリアvs日本」に勝利し、7大会連続のW杯出場権を獲得したサッカー日本代表。日本代表の戦いぶりに注目が集まる中、ボールメーカーのモルテンもピッチ上で奮闘していた。
モルテンが採用された2つの理由
近年、サッカーの国際試合では、独アディダスやプーマ、米ナイキなど海外の大手スポーツメーカーのボールが使用されるケースが多い。アジア地区限定とはいえ、“日の丸ブランド”のボールが採用されたのは快挙といえるだろう。
採用理由について、供給元のモルテンの担当者は大きく2つの点を指摘する。1つがボール品質への信頼性だ。同社は1958年創業。当初はモルテンゴム工業という社名だった。ゴム製品の製造を手掛け、翌59年に第一号ボールが完成。スポーツ事業に参入した。
参入以来、サッカーに加え、バスケットボールやハンドボール、バレーボールなどスポーツ用のボールを製造。同社スポーツ事業部が手掛ける1500商品のうち、3分の1に当たる約500商品がボールだという。同社はその後、スポーツ事業を起点に、自動車部品や医療・福祉機器も手掛けるようになり、事業の多角化を進めた。
手掛ける主要4競技全てで、国際基準をクリアした「国際公認球」の認定を受けており、このうちバスケットボールとハンドボールに関しては、五輪と国際大会(W杯・世界選手権)の試合球として使用されている。こうした世界トップレベルの品質などが評価され、採用につながった。
W杯アジア最終予選は、ホーム&アウェイで行われるため、試合開催地は日本だけでなく、海外にも及ぶ。どの会場でも同じボール品質を実現するためには、技術面だけでなく、物流面での信頼性も求められる。同社は中国、タイ、ベトナムにも海外拠点があり、そうした面もAFCがW杯最終予選の試合球として採用した大きな要因になった。
同社によると「具体的な数値は開示できないが、試合球に採用されたことで、最終予選進出国での試合球の売り上げが増加した」といい「今後も最高の製品づくりに挑戦していくとともに、アジアサッカーのさらなる発展に貢献できるよう活動していく」としている。
今回の予選では最初の3戦で1勝2敗と苦戦しつつも、最終的に7大会連続のW杯出場を決めたサッカー日本代表。出場決定試合となったオーストラリア戦は豪雨の中での試合となったが、同社製ボールの技術力もサポーターとともに“12番目の選手”として、出場権獲得に貢献したと言えそうだ。
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