3割減収でも最高益のファーウェイ、切り札は300人の「天才少年」と3兆円の研究開発投資:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(6/6 ページ)
2019年に米国に輸出規制を発動され、「生存」が最重要ミッションとなったファーウェイが21年決算を発表した。売上高は前年比28.6%減だが、純利益は同75.9%増で過去最高。カナダで3年近く軟禁生活を経た孟晩舟副会長が、4年ぶりに決算会見に出席し、最悪期を脱したことを示唆した。
2年間で新卒2万6000人採用
中国では中国政府の規制によってIT企業が打撃を受けており、アリババやテンセントといったメガIT企業の大規模リストラが報道されている。ファーウェイの決算会見でも中国人記者からリストラ計画の有無が質問された。
郭平輪番会長は、「いかなる困難な状況でも、トップ人材は力を入れて採用する。20年、21年の2年間で新卒2万6000人を採用し、300人を超える天才少年が入社した」と答えた。
「天才少年」は、任CEOが提唱したトップ人材採用プロジェクトで、突出した能力を持つ新卒の大学生、大学院生を年棒1000〜3000万円で採用するもの。初めてこれまでの採用人数が明らかになった。
ファーウェイの郭平輪番会長は会見で、半導体の調達難は当面続くとの見通しも示した。スマートカーソリューションや脱炭素など、スマートフォンに代わる新規ビジネスを模索しており、21年の研究開発費は売上高の22.4%を占める1427億元(約2兆7000億円)に達した。
以前から研究開発に多額の投資をすることで欧米企業にキャッチアップしてきた同社だが、規制発動後はOSや半導体の研究開発も含め、その規模がさらに拡大している。
任CEOは米国の規制が始まった頃、「20年、21年は冬の時代だが、その後は好転する」と語ったことがある。22年は最も困難な時期に着手したビジネスの展望が見える1年になるかもしれない。
筆者:浦上 早苗
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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