レクサスのショールームで提供される「木を飲むドリンク」 木を食べる未来がくるのか?:5種類の木を使用(1/3 ページ)
食用花や昆虫食など「一見、食となじみがないけど食材になっちゃったよ」シリーズに「木」が追加される未来もそう遠くないかもしれない。日本草木研究所が、ヒノキなど5種類の木材を使用した「木を飲むドリンク」を開発した。どのような商品なのかというと……
幼少期、友人から通学路に咲いている桃色の小さい花を渡され、「この花の蜜、甘いから吸ってみな」と言われ口にしたことがある。その意外なおいしさに衝撃を受けた。そして「蜜がおいしいなら、花自体もおいしいのでは?」と推理した少女(筆者)は花を食べてみたわけだが、「変な味がする!」とすぐに吐き出したのを覚えている。
最近では食用の花を「エディブルフラワー」と呼び、その種類も増えているのだとか。食用花や昆虫食など一見、食となじみがないものが急に「食材」に姿を変えるのにはワクワクさせられる。
そして、一見、食となじみがないけど食材になっちゃったよシリーズに「木」が新たに加わったというニュースを耳にした。木の食用化や活用を試みる日本草木研究所(東京都目黒区)と長野県・軽井沢の「離山」を拠点としたアーティストTOGEが、2021年8月に発売した「FOREST SODA(フォレストソーダ)」と「FOREST SYRUP(フォレストシロップ)」だ。
長野県軽井沢町に位置する離山に生えているモミ、アカマツ、カラマツ、アブラチャン、ヒノキ、晩柑、ブラックカルダモンを使用したドリンクとシロップだ。木のチップや葉を蒸留機に入れ、香りを抽出した蒸留水に炭酸水や砂糖などを加えて完成する。
日本草木研究所の共同代表 古谷知華さんは味や香りについて「森に足を踏み入れたときに感じる木の香りをそのまま再現できたと思っています。いわゆるヒノキ風呂などの香りではなく、枝葉から抽出されたしっとりとした森の香りです」と話す。
フォレストソーダを5000本作るのに必要な木材の量は100キロに及ぶ。日本の間伐問題に一石を投じる画期的なアプローチとして支持され、企業からの問い合わせも多い。
実際、東京・日比谷ミッドタウンでトヨタ自動車が展開するレクサスのショールーム「LEXUS MEETS… (レクサス ミーツ)」内のカフェメニューに採用された。そのほか、蔦屋書店や高級ホテルから商品を卸したいという相談があり、卸先は約30カ所に上る。
現在の商品は6種類。4月には木の酒を販売する予定だ。現在は塩やドリンクなど飲食系が多いものの、今後はハンドソープなどのライフスタイル系商品の展開も検討しているという。
19年にはLIFULLが間伐材を使用したパウンドケーキ「Eatree Cake 〜木から生まれたケーキ〜 」を発売して話題になった。食材と認識されていなかったものを食材に変える取り組みが広がっていることが分かる。
ここで一つ疑問が浮かぶ。「木って食べても本当に大丈夫なの?」という疑問だ。
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