”おじさん上層部”の反対を押し切って発売 約2年で44万個売れた「プリントグラス」のヒットの理由とは?:7カ月連続で最高販売数を更新(1/4 ページ)
創業200年の老舗ガラスメーカーが復刻させた、昭和レトロなデザインのプリントグラスが爆発的に売れている。累計販売数は2019年10月の発売から約2年で44万個を突破した。昨年の1月からは7カ月連続で月次の最高販売数を更新しているという。なぜ今、復刻商品が売れているのか? その秘密に迫る。
1970年代のデザインを復刻したプリントグラス「アデリアレトロ」が売れている。累計販売数は2019年10月の発売から約2年で44万個を突破した。時代は既に令和に突入しているにもかかわらず、なぜ昭和のプリントグラスが人気なのだろうか。
創業200年の老舗ガラスメーカーが昭和のプリントグラスを復刻
アデリアレトロは1819年創業の石塚硝子(愛知県岩倉市)が手掛ける食器ブランド「アデリア」から生まれたプリントグラスシリーズだ。同社は1961年から、通常のグラスや脚の付いたグラス、ボンボン入れと呼ばれる飴やチョコレートを入れておく容器などを販売しており、1970年前後にかけて広く一般家庭で使われるようになった。しかし、時代の移り変わりとともにデザインの人気が低迷し、平成で目にする機会はほぼなくなった。
ところが、販売当時のデザインをそのまま生かしたプリントグラスを「アデリアレトロシリーズ」として2018年に復刻販売したところ、20〜40代女性の間で大ヒットした。累計販売数は2年で44万個を突破し、21年1月からは月次の最高販売数を7カ月連続で達成している。驚異的なペースといえるだろう。7月にはガラス蓋のボンボン入れを復刻発売し、前年同月比370%達成(数量ベース)という数字を叩き出した。
石塚硝子が昭和当時のプリントグラスを復刻するに至ったきっかけは、何だったのだろうか。それは同社の20代の女性社員が、既に廃版となったアデリアのプリントグラスの写真をインスタグラムで共有し、盛り上がっているコアファンを見つけたことだった。昭和を過ごした人間から見れば「ありふれた、古めかしいデザインのプリントグラス」にすぎなかったが、平成生まれの若者の目には新鮮に映ったようだ。
SNSで話題になっていることに商機を見いだした女性社員たちは、早速社内の企画会議で再販プロジェクトを提案。しかし、昭和世代の”おじさん上層部”からは「こんな古い商品を今更販売したところで売れるわけがない」と相手にされなかった。
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