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「宅急便」はヤマトHDの登録商標? ジブリ映画『魔女の宅急便』との関係を広報に聞いた仕事に役立つ企業トリビア(1/2 ページ)

ヤマトHDとジブリ映画『魔女の宅急便』の関係を巡るツイートが話題になっている。真相をヤマトHDの広報担当に聞いた。

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連載:仕事に役立つ企業トリビア

「知られざる本社所在地」「手掛けている意外なビジネス」「ロゴマークに込めた真意」「名物社長の経歴」――ビジネスを楽しくする企業トリビアを紹介していく。

 「『宅急便』は普通名称ではなく、ヤマト運輸が商標登録しているもの。『魔女の宅急便』を作ろうとしていたジブリともめていたが、最終的にヤマト運輸がスポンサーになることで解決した」――スタジオジブリの人気作品『魔女の宅急便』を巡る、こんなトリビアがTwitterで話題となっている。これは事実なのか。ITmedia ビジネスオンライン編集部はヤマトホールディングス(ヤマトHD)の広報に事実関係を聞いた。

ヤマトHD「スタジオジブリとトラブルになった事実はない」

 投稿したのは「兎です。(FAKE)」さん(@Soviet_Usako)。4月1日午後9時時点で、約9600リツイート、約8万3000いいねを記録している。ヤマトHDの広報担当者は取材に対し「『宅急便』という単語はヤマトHDの登録商標という点は事実だが、スタジオジブリとトラブルになった事実はない」と回答した。

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『魔女の宅急便』(出典:スタジオジブリ公式Webサイト

 担当者は「スタジオジブリ側とは建設的な議論の末、共同提携という形で作品に関わった」と強調。実際、同社の創業100周年記念サイトの「100年のあゆみ」では「1989年にヤマト運輸が、徳間書店、日本テレビ放送網と共同提携で製作した映画『魔女の宅急便』(宮崎駿監督)が公開され、映画をご覧になった取扱店さまからも多くの反響が寄せられた」と、同作品との関係性を紹介している。

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『魔女の宅急便』公開時のヤマトHDのポスター(出典:「100年のあゆみ」)

 ネット上では「『宅急便』がヤマト運輸の登録商標であったことや登場キャラクターに黒猫がいたことが縁でヤマト運輸がスポンサーになった」「1985年12月、映画プロダクション風土舎は角野栄子の児童文学『魔女の宅急便』の長編アニメーション化の企画を立ち上げた。『宅急便』がヤマト運輸の登録商標であったことから、真っ先に同社にスポンサーを要請した。当初ヤマト運輸は難色を示したが、次第に前向きになりスポンサーになることを了承した」など真偽不明な逸話が、複数散見される。

 作品に関与した経緯についても聞いたが「30年以上前のことで社内に記録がなく、不明確であるため、お答えできない」と明言を避けた。

 ただ、同社は先述の社史に、同作品公開時のポスターとともに「作品の『こころを暖かくする宅急便です。』というキャッチコピーには、『こころ暖まる映画をヤマトがお届けしている』ことと、『宅急便が送る人や受け取る人のこころを暖かくするサービスである』 ことの、二つの意味が込められている」と記載している。

 作品製作前のジブリ側との交渉の詳細は不明だが、この記載内容を見る限り、公開後は同社も作品のPRをしていたことが分かり、良好な関係を築いていたことがうかがえる。

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