東京・港区が9階建ての区立小学校を新設した理由:タワマン増加が背景(1/2 ページ)
オフィスビルなどが立ち並ぶ東京・港区芝浦に「港区立芝浜小学校」が新たに開校した。同区にとって、統廃合を伴わない形での区立小新設は、小中一貫校の区立港陽小学校(港区台場)以来、26年ぶり。新設の背景を取材した。
オフィスビルなどが立ち並ぶ東京・港区芝浦。4月1日、このエリアに「港区立芝浜小学校」が新たに開校した。同区にとって、統廃合を伴わない形での区立小新設は、小中一貫校の区立港陽小学校(港区台場)以来、26年ぶり。新設の背景には、タワーマンションの増加など都心部ならではの事情があった。
芝浜小は地下1階、地上9階で、高さ約55メートルの「積層型」。区の複合施設「みなとパーク芝浦」に隣接する区有地に建設し、敷地面積は約2万平方メートル、延べ面積は約1万2256平方メートル。2階から4階に普通教室が、5階には特別教室などがある。開校時には6学年で計13クラス、約380人が通うと見込まれる。最大で24クラスまで対応可能とした。
都心部の限られた建設用地に、小学校に必要な機能を集約したため、9階建てという小学校としては異例の高層建築物とした。6階には室内プールを設置。可動式の床を採用し、夏以外は床を張り、屋内運動場として使用する。
7階の多目的ホールには、クライミングボードや取り外し可能な鉄棒を設置したほか、8階は防災備蓄倉庫や地域開放用の更衣室を完備。災害時の避難所としての機能を持たせた。最上階の9階は人工芝を張った屋上校庭とし、直線50メートルラインと95メートルトラックを引いた。
設計はNTTファシリティーズ、施工は日本国土開発・徳倉建設・田中建設の3社で構成する共同企業体がそれぞれ担当した。区によると、総事業費は約100億円超だという。
設計を担当したNTTファシリティーズによると、同小学校は隣接のみなとパーク芝浦と連絡通路で接続しており、災害時には防災機能の連携を強化する計画となっている。また、協定を結んだ木材を外装材や内装材に使用することで、環境負荷低減にも貢献しているという。
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