政府と日銀は円安進行をどう考えているのか:市川レポート 経済・相場のここに注目(1/2 ページ)
このところ、日本政府と日銀から為替相場に関する発言が相次いでいます。これら一連の発言は、ドル円が3月28日に、一時1ドル=125円09銭水準までドル高・円安が進行したことを受けてのものです。
ドル円が、3月28日に125円台をつけた後、政府・日銀から為替相場に関する発言が続いている
このところ、日本政府と日銀から為替相場に関する発言が相次いでいます(図表1)。神田真人財務官は3月29日、最近の円安の進行を含め、為替市場の動向や日本経済への影響をしっかりと緊張感を持って注視すると述べました。また、岸田文雄首相は3月30日、日銀の黒田東彦総裁と会談し、黒田総裁は会談後、為替は経済情勢を反映し、安定的に推移することが望ましい旨を首相に伝えたと語りました。
さらに、鈴木俊一財務相は4月1日、為替は市場によって決まるものだが安定は重要で、特に急速な変動は望ましくないとの見解を示し、4月5日には黒田総裁が再び円相場について触れ、足元の変動はやや急ではないかと思うと述べました。これら一連の発言は、ドル円が3月28日に、一時1ドル=125円09銭水準までドル高・円安が進行したことを受けてのものです。
政府・日銀の発言に、市場の一部では円安是正の為替介入や金融緩和の修正を見込む向きも
年初からのドル円の動きを振り返ると、年明け以降はおおむね1ドル=114円〜116円を中心とするレンジ内で推移していましたが、3月11日にドルの上値抵抗線として意識されていた116円35銭水準を上抜けると、ドル買い・円売りの動きが一気に加速しました(図表2)。その結果、わずか2週間ほどで9円近くドル高・円安が進行したため、前述の政府・日銀の発言は、極めて妥当といえます。
ただ、このような発言を受け、市場では、円安是正のため、為替介入や金融緩和の修正が行われるのではないかとの声も一部で聞かれるようになりました。そこで以下、これらの実現性について考えてみます。まず、財務省と日銀の役割を整理すると、為替政策は財務省の管轄であり、為替介入は財務大臣の権限において実施されます。一方、日銀は金融政策を管轄し、為替介入の場合は、財務省の指示に基づいて介入の実務を行います。
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ドル円は年明け以降、おおむね1ドル=114円〜116円を中心とするレンジ内で推移していましたが、3月11日にドルの上値抵抗線として意識されていた116円35銭水準を上抜けると、ドル買い・円売りの動きが一気に加速しました。ドル円は3月22日に2016年2月以来、約6年1カ月ぶりに121円台を回復し、翌23日には121円41銭水準までドル高・円安が進行しました。 - リスクオフの円高が進まない理由
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