会社の倒産は減っているのに、なぜ労働者は“幸せ”そうに見えないのか:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
帝国データバンクによると、企業の倒産件数が減少しているという。過去2番目に少ないのに、なぜ日本で働く人たちは幸せそうに見えないのか。
いまだに出口の見えないコロナ禍で苦しい戦いを強いられている企業も多い中、こういうニュースを耳にしてホッとされたという人も多いのではないか。
「倒産件数56年ぶりの低い水準 帝国データ調べ」(TBSNEWS 4月8日)
帝国データバンクによれば、2021年度の全国の企業の倒産件数は5916件で前年度に比べて19.1%も減少しており、これは過去最も少なかった1965年に次ぐ2番目に低い水準だったというのだ。
もちろん、これは雇用調整助成金や事業復活支援金など政府の手厚いコロナ対策によるものであることは言うまでもない。ちなみに、これは日本だけの話ではなく、各国政府が事業支援に注力したことで世界的にも倒産件数は減少している。
だが、そんなドーピング的な倒産減ゆえ「反動」を不安視する声も多い。ウクライナ危機による世界的な物価上昇もあって、今年の終わりあたりから大倒産時代が訪れるなんて予言している人もいる。
ただ、筆者は「倒産」ということに関しては、この日本ではそこまで悲観的になる必要はないのではないかと思っている。というのも日本は世界でもトップレベルで「会社が潰れない国」だからだ。
マスコミは倒産が増えた減ったと大騒ぎをするばかりであまりこういう話をしないので、ご存じのない方も多いだろうが、遥か昔から日本の「倒産の異常なまでに少なさ」は海外からも注目を集めてきた。例えば、内閣府の「日本経済2020−2021 ー感染症の危機から立ち上がる日本経済−」(令和3年3月)の中では、米国、英国、フランス、ドイツとの開業率・廃業率が比較されておりこう結論付けられている。
「廃業率は、英国が11%程度、アメリカが8%程度と、開業率と同程度の廃業率となっているなかで、我が国の廃業率は1.5%程度と圧倒的に低い」
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