会社の倒産は減っているのに、なぜ労働者は“幸せ”そうに見えないのか:スピン経済の歩き方(3/7 ページ)
帝国データバンクによると、企業の倒産件数が減少しているという。過去2番目に少ないのに、なぜ日本で働く人たちは幸せそうに見えないのか。
労働者を「犠牲」にしてきた
なぜこのようなおかしな結果になってしまうのか。いろいろな考察があるだろうが、筆者は「世界一会社が潰れない」という自由経済の世界ではあり得ない異常な状態をキープするため、労働者を「犠牲」にしてきた結果ではないかと考えている。
もっと具体的に言ってしまうと、「企業全体の生存率をあげるために、最大のコストである人件費を異常なまでに低く抑える」という賃金システムが日本社会にすっかり定着してしまったからである。
先ほど米国、英国、フランス、ドイツなどの先進国と比較して、日本は圧倒的に廃業率が低いというデータを示したが、ではなぜここまで「大差」がついているのか。
まず大きいのは、補助金や税制面の優遇など「過保護」と言ってもいいほど手厚い経営支援があることだが、異常な廃業率の低さはそれだけでは説明できない。「経営のズブの素人」が会社を存続させられるのは、世界広しといえども日本だけだからだ。
例えば、日本は起業家教育が他の先進国に比べて進んでいない。文部科学省の「アントレプレナーシップ教育の現状」にも、「諸外国に比べ我が国ではアントレプレナーシップに係る各種指標が相対的に低い」「わが国の大学(学部・修士)におけるアントレプレナーシップ教育受講者は3万人/300万人であり、1%の学生にしか提供されていない」と認めている。
Global Entrepreneurship Index 2019によればG7の中で6位、アジアで見ても香港、台湾、韓国を上に見る形で6位となっている。
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