イーロン・マスク氏、なぜツイッターの筆頭株主に? 過去ツイートから分析(2/3 ページ)
米スペースXとテスラのイーロン・マスクCEOが米ツイッターの取締役就任を辞退した。マスク氏は株式取得の経緯や取締役辞退の理由を明らかにしていないものの、筆頭株主の地位は変わらず、経営や事業展開など今後の同社の意思決定に一定の影響力を行使するものとみられる。マスク氏はなぜ世界的なSNSプラットフォームの筆頭株主になったのか。過去のツイートを紐(ひも)解き、分析する。
アンケート実施前に保守系ニュースサイト運営者に接触
マスク氏は前述の投票実施前、ある人物にも接触していたという。その人物とは保守系ニュースサイト「The Babylon Bee」運営元のセス・ディロンCEO。ディロンCEOが手掛ける同ニュースサイトの公式Twitterアカウントは3月21日に、ツイッターのルールに反したとして、アカウント停止の処分を受け、同日以降、新規の投稿ができないようになっている。
ディロンCEOは4月5日、自身の公式Twitterアカウントで「マスク氏は、Twitterの言論の自由への取り組みについてフォロワーにアンケートを取る前に、われわれに連絡してきた。彼(マスク氏)は、私たちが実際に停止されたことを確認したかったのだ」と明らかにした。ディロンCEOとの電話の中では「Twitterを買う必要があるかもしれないとさえ考えていた」という。
ディロンCEOとマスク氏の接触は今回が初めてではない。21年1月8日、国会議事堂襲撃などの暴力行為を煽動したとして、ツイッターはトランプ氏のアカウントを永久凍結すると発表。Facebookなど他の主要SNSもアカウントを凍結した上、米グーグルとアップルはトランプ支持者が代替サービスとして使用していたSNSアプリ「Parler」(パーラー)の自社アプリストアでの提供を停止した。さらに米アマゾンも同サービスへのサーバ提供を停止した。
こうしたことを受け、The Babylon Beeは同月11日、トランプ大統領退陣に関する記事を配信。記事は「悪のファシスト独裁者が検閲を受けた」などとビッグテック企業による一連の“トランプ排除”を皮肉る内容だった。記事配信のツイートに対し、マスク氏は「事実上の言論の自由の支配者としての西海岸のハイテク企業に、多くの人が非常に不満を抱くことになるだろう」と投稿した。
ただ、同ニュースサイトの内容を巡っては、賛否両論あり、米主要紙USAトゥデイ紙は「フェイクニュースサイト」と断じている。
こうした一連の投稿を見ると、マスク氏はSNS上の言論の自由に対し、強い問題意識を持っていると見られる。過去には「同じ機械、同じ検査、同じ看護師という条件で、今日、新型コロナを4回検査した。2回は陰性、2回は陽性だった。何か極めてインチキなことが起きている」と投稿。PCR検査などの検査方法に疑義を呈し、物議を醸すなど何かとTwitter上ではお騒がせなマスク氏だが、こうした“過激”ツイートは、言論の自由を重視するからこその投稿なのかもしれない。
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