「高級食パン」ブームは本当に終了したのか? “大量閉店”騒動が隠した本当の姿:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/7 ページ)
「高級食パンのブームが去った」という報道が目立つ。SNSでは“大量閉店”の情報が飛び交う。最新の「高級食パン勢力図」から見えてきたものとは?
駅前は苦戦
同様に高級食パンも、駅前にある店は売り上げ減に苦しむ傾向がある。
閉店した店のリストを見ていると、ベーカリープロデューサーで、ジャパンベーカリーマーケティング(横浜市)の岸本拓也社長が手掛けた店が目立つ。本記事では、岸本氏プロデュースの店舗群を“岸本ファミリー”と呼ばせてもらう。岸本ファミリーは「考えた人すごいわ」「どんだけ自己中」をはじめ、「あせる王様」「遅刻のすすめ」といったように奇抜なネーミングが特徴だ。岸本氏は閉店した数以上に開店させているが、大量閉店したブランドもある。
岸本ファミリーでも、特に「あせる王様」は苦戦している。20年8月、千葉県船橋市に船橋店をオープンしたのを皮切りに、千葉県に14店にまで急拡大。しかし、21年12月に津田沼店、八千代緑が丘店、稲毛店、北習志野店、C・one店、ブレッドスタジアム検見川浜店と6店が一斉閉店している。千葉市内にあるC・one店は同年9月にオープンしてからたった3カ月、ブレッドスタジアム検見川浜店に至っては同年11月にオープンしてから1カ月しか持たなかった。
「真打ち登場」は19年11月、東京の千駄木にオープン。その後、店舗を10店ほどにまで急拡大したが、今はまた1店に戻った。残りは全て閉店。
「遅刻のすすめ」(神戸市)は、JR六甲道駅の近くに21年1月オープン。しかし、六甲道は高級食パンの激戦地であり、元祖高級食パンといわれる「地蔵家」もすぐ近くにある。競合店の乱立で環境が厳しく、同年11月に閉店した。
「告白はママから」(東京都武蔵野市)も20年8月、吉祥寺にオープンしたが、22年1月に閉店した。どこか1980年代「金妻ブーム」を連想させるネーミングだったが、結果的に支持されにくかったようだ。
高級食パンは果たして本当に限界なのか。現状と展望を分析してみた。
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