「高級食パン」ブームは本当に終了したのか? “大量閉店”騒動が隠した本当の姿:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/7 ページ)
「高級食パンのブームが去った」という報道が目立つ。SNSでは“大量閉店”の情報が飛び交う。最新の「高級食パン勢力図」から見えてきたものとは?
高級食パンの勢力図は?
高級食パンはどのような勢力図になっているのか。まずは、各社の公式webサイトから、単純に主なチェーンの店舗数を数えてみた。19年1月6日付の店舗数は、後述する記事(筆者が過去に執筆)を参考にしている。また、「HARE/PAN」「ラ・パン」「本多」「い志かわ」については、「食べログ」などネット上の情報から割り出した。
岸本ファミリーの最新店舗数は、ふじたん(藤田真嗣)氏が運営するWebサイト『まいぱん』より、「岸本拓也さんがプロデュースした高級食パン専門店の全店舗一覧【2022年4月最新】」をベースにしている。また、開店閉店.comも参考にした。「銀座に志かわ」「ワンハンドレッドベーカリー」は、運営会社に直接聞いた。なお、銀座に志かわの最新店舗数は3月31日現在の数字となっている。
【主要高級食パンチェーンの国内店舗数(左が19年1月6日、右が22年4月10日)】
- 岸本ファミリー(4→260)
- 乃が美(111→256)
- HARE/PAN(3→172)
- 一本堂(113→128)
- 銀座に志かわ(1→124)
- ラ・パン(1→51)
- 嵜本(5→37)
- 高匠(8→35)
- panya芦屋(6→16)
- 本多(5→15)
- レブレッソ(3→10)
- い志かわ(1→10)
- ワンハンドレッドベーカリー(0→8)
- 俺のベーカリー(8→5)
- 点心(4→4)
こうして見ると、店舗数からいくつかのグループに分けられそうだ。岸本ファミリーと乃が美はトップを争う最大手第一集団。
一本堂、銀座に志かわ、HARE/PANは、店舗数100を超えた大手第二集団。
ラ・パン、嵜本、高匠は、30〜50店ほどの中堅の第三集団。
panya芦屋、本多、レブレッソ、い志かわ、ワンハンドレッドベーカリーは、10〜20前後の小チェーンで第四集団。
あとは、地元に愛される個人店や3〜5店程度のごく小さなチェーンが多数ある構図だ。
高級食パンがブームだといわれ始めた19年1月6日付で、筆者は「東京と大阪の“抗争”が激化 今年も高級食パン戦争から目が離せない」という記事を書いている。その頃の最大手は、一本堂の113店で、乃が美が111店と肉薄していた。3年で勢力図は一変した。一本堂も乃が美も大阪出身で、東京勢も「セントル ザ・ベーカリー」や俺のベーカリーが出現しており、品質では負けないといった構図だった。
岸本ファミリーは東京郊外の清瀬と横浜の菊名に考えた人すごいわ、東京の中野に「うん間違いないっ!」、相模原市の橋本に「これ半端ないって」を出店していて、4店があるのみだった。そこから怒涛(どとう)の勢いで出店を重ねていくのだ。
銀座に志かわはまだ銀座に1店あるだけだった。水にこだわる、独特の和風の風味でこのチェーンも伸びた。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 新成人が「欲しい車」ランキング 3位はレクサス、2位はBMW、1位は?
ソニー損害保険は新成人(2001年4月2日〜02年4月1日生まれ)を対象に実施した「2022年 新成人のカーライフ意識調査」の結果を発表した。新成人が欲しい車とは? - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 290円ラーメンに250円定食 びっくりドンキー、幸楽苑、なか卯で進む「朝食革命」の正体
朝食に力を入れる外食チェーンや飲食店の動きが目立ってきた。ハンバーグ専門店「びっくりドンキー」、タピオカや台湾料理の専門店「春水堂」などが参入している。どのような戦略を打ち出しているのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.