「高級食パン」ブームは本当に終了したのか? “大量閉店”騒動が隠した本当の姿:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/7 ページ)
「高級食パンのブームが去った」という報道が目立つ。SNSでは“大量閉店”の情報が飛び交う。最新の「高級食パン勢力図」から見えてきたものとは?
次の一手に取り組む乃が美
現状、岸本ファミリーの店舗数は、乃が美を抜いて業界トップである。コロナ禍で高まった巣ごもり需要を背景に、外食ができなくなった人の「ささやかな贅沢(ぜいたく)を楽しみたい」という需要を取り込んで、大きく成長した。岸本氏は、この3年の間に潰れた店も合わせて、300店近くの高級食パン店を全国につくりまくっていた。
最初のプロデュース店である考えた人すごいわは、11店まで増えていて順調だ。その後、岸本氏の付けるネーミングも「いつかの馬鹿ップル」「なま剛力スタジアム」「チンパンジーOK」「並んで歯磨き」「ボイン」など、だんだんと独特な雰囲気が醸し出されてくるが、初期の店はしっかりしている感がある。
岸本ファミリーの各店は、岸本氏自身が経営してないので、プロデュースを依頼した人の経営力でその後の運命が変わってくる。同じ人がプロデュースをしているから、店の雰囲気、味や商品内容が似通ってくるのは仕方ない。
乃が美は19年の頃から、「そろそろ限界」ともいわれていたが意外にも店舗が倍増している。
高級食パンの火付け役としての知名度とブランド力が確立されてきたようだ。
乃が美は、麻布十番に東京初となる店舗ができた際に大行列ができていた。現在、同店の行列は見られなくなったものの、都内に19店を擁するようになった。大消費地の首都圏が未開拓だったのが、コロナ禍の間に出店が進んだ。「はなれ 札幌店」が3月に閉店したように、たまに閉店も見られるが、岸本ファミリーのような大量閉店はなく、全般に順調だ。
東京・八王子市の高尾駅販売店では自動販売機を設置して、店舗が営業していない夜中や早朝でもパンが買える取り組みを新たに始める。
このような次の一手に取り組む姿勢が乃が美にはある。
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