「営業配属だけはイヤだ」 新卒は、なぜ営業職にアレルギーを持つのか?:根性論はもう古い(1/2 ページ)
「企業の人材不足」に関する調査によると、「営業職」の人員不足が最も高いことが分かった。「営業はキツい」「新規営業をやっている女の子が泣いていた」などSNS上では営業職に関するネガティブなエピソードも見られる。しかし、総合職の約7割が営業職に配属される時代だ。企業側は苦手意識を持つ新卒をどのようにマネジメントすべきか?
「今時飛び込み営業はキツい」「新規営業やっている若手の女の子が上司の前で泣いていた」「営業職、本当に追い込められる」など営業職に対するネガティブな投稿をSNS上で目にする機会が増えた気がする。
新卒社員の本配属が決まる時期が近づいてきた。Twitterなどを見ていると、営業職に対して苦手意識を持っている新卒社員の投稿が散見される。なぜ、新卒社員は営業職に対する苦手意識を強く持っているのだろうか。
人材紹介大手のエン・ジャパンは、2019年に「企業の人材不足の状況」についてアンケートを実施した。「不足している職種」について尋ねたところ、1位は営業職(35%)で、2位の技術系(18%)と比較して約2倍の差が見られた。この結果からも、営業職の人材流出は企業が真剣に考えなければならない大きな問題であることが分かる。
新卒を中心とする若手社員にとって、営業職に対するイメージは明るいとは言い難く、「ノルマ」「飛び込み営業」「テレアポ」といったようなイメージは今も色濃く残っていることがSNS上での投稿や調査などから推測される。
一方、こんな疑問も浮かぶ。「デジタルネイティブ世代(1990〜2000年代生まれ。学生時代からインターネットやパソコンのある生活環境の中で育ってきた世代)は、SNSで他人とコミュニケーションを取ることに慣れている可能性が高い。そう考えると、新規営業などに抵抗を感じない人もいるのではないか?」
営業のコンサルティング事業を手掛ける、営業サポート・コンサルティングの菊原智明氏は、この疑問に対して下記のように回答する。
「デジタルネイティブ世代の若者は、オンライン上でのテキストコミュニケーションや関係構築は得意だが、電話や対面でのやり取りは苦手な傾向がある。このような背景も営業職への不安を増加させている要因」と話す。
新卒社員にとって、オンラインツールを活用した対面を必須としない営業活動のほうがハードルが低く、強みを発揮できる可能性も期待できる。しかし、実際には飛び込み営業やテレアポなど”古いタイプの営業”が、今も多くの企業で主流だという。
では、「総合職採用の約7割が営業職に配属される」(菊原氏)という現状の中で、苦手な営業部門に配属されてしまった新卒社員はどう仕事に向き合えばいいのだろうか? また、営業という仕事に楽しみを見いだし、働き続けてもらうために企業はどのようなマネジメントをすべきなのだろうか?
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