「ららぽーと福岡」オープンの衝撃 ショッピングセンター飽和の時代、勝算は?:勝ち組の研究(1/5 ページ)
2022年4月、ショッピングセンター(SC)業界の雄「ららぽーと」が福岡に出店した。SCは飽和しているといわれている。どこに商機を見い出しているのか、現地で分かったこととは?
2022年4月、ショッピングセンター(SC)業界の雄「ららぽーと」が福岡に出店しました。「福岡市青果市場跡地プロジェクト」というプロジェクト名にもある通り、青果市場の跡地に開発されたSCです。
九州ナンバー1のSCを目指すららぽーと福岡にはどんな特徴があるのか。飽和化した日本のSC市場の中で、どんな狙いを持って開発したのか。今さら日本に新しいSCが必要なのか。その答えが、ららぽーと福岡にありました。
ららぽーと福岡の特徴を、小売り・サービス業のコンサルティングを30年間続けてきたムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸が分析していきます。
日本のSCは減少傾向
日本のSCは今どのような状況にあるのでしょうか。SC市場の実態を見てみましょう。
日本には現在、SCは3195カ所あります(日本SC協会調べ)。モータリゼーションの進化、ライフスタイルの個性化・多様化、郊外型大型店開発などを背景に増えてきました。SCは、日本のニューファミリーの暮らし方の変化とともに歩んできたといえます。
週末に家族でSCに出かけて、買い物や食事をしながら1日をSCでゆったりと過ごす――。日本人の買い物兼レジャーの場でもありました。
2000年に大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行された後、日本のSC数は一気に増加しました。しかしその後、新規開発は減少し始めました。18年には日本全国で3220カ所だったのがピークです。SC自体の閉館などもあり、21年まで3年連続で減少し、現在は3195カ所となっています。「SCを出せばデベロッパーはもうかる」「テナントはSCに出店場所を確保さえすれば成長し続ける」というモデルは崩れ始めました。
日本のSCは、郊外を含む周辺立地にそのほとんどが存在します。規模は3万平米以下が全体の8割程度で、米国のように超大型のリージョナル型(広域型)が中心ではありません。また、出店して20年以上経過したSCの高齢化も目立ってきました。
店もテナントも古いSCで、かつ中規模のSCが同じような商圏に密集し、それぞれでお客さんを奪い合っています。結果的に一施設当たりの売り上げが減少傾向にある――これが今の日本におけるSCの実態です。
これからは明確な独自性をもったSCでなければ、生き残っていけないことは明白です。
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