ソフトバンクG、医療ベンチャー「AIメディカルサービス」に出資 国内3例目:内視鏡AIでがん見逃しゼロへ
AIを用いた内視鏡診断システムを開発する医療スタートアップ、AIメディカルサービス(東京都豊島区)は4月26日、ソフトバンクグループのビジョン・ファンド2をリード投資家とし、総額80億円の資金を調達したと発表した。同ファンドから出資を受ける国内企業は3例目。
AIを用いた内視鏡診断システムを開発する医療スタートアップ、AIメディカルサービス(東京都豊島区)は4月26日、ソフトバンクグループのビジョン・ファンド2をリード投資家とし、総額80億円の資金を調達したと発表した。同ファンドから出資を受ける国内企業は3例目。
AIメディカルサービスは、東京大学医学部出身の内視鏡医、多田智裕氏が2017年に設立した医療AIスタートアップ。「内視鏡AIでがん見逃しゼロへ」をミッションに掲げ、医師が見落としそうな病変を、AIを用いて検出する診断支援システムを開発している。
内視鏡検査は現在、消化管がん(胃がん、食道がん、大腸がん)を早期発見できる唯一の手段。内視鏡医療は日本が発祥で、内視鏡製品の世界シェアはオリンパス、富士フイルム、ペンタックスの日本企業3社で98%を占める。日本の内視鏡医の技術も世界トップレベルとされている。
一方で、がんで亡くなる人のうち、約3割は消化管がんで亡くなっており、国内外を問わず最多。消化管がんの死亡者を減らすには、内視鏡の精度を向上し、がんの見逃しを減らすことが欠かせない。
AIメディカルサービスは国内の100を超える医療機関と連携。内視鏡AIの精度を高めるために、教師データとなる1万8000枚に及ぶ内視鏡画像のほか、18年以降は20万本に及ぶハイビジョン動画も収集し、病変の検出精度を高めている。
26日の記者会見で多田智裕・代表取締役CEOは「内視鏡AIをソフトバンクの後押しを受けて世界展開することができれば、世界の内視鏡医療の発展に貢献でき、多くの患者の命を救えると確信している」と話した。
ビジョン・ファンドを運営するソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズの松井健太郎氏は「AIメディカルサービスの内視鏡AIは、内視鏡医療の高度化を促進するための有力なツール。日本発のAI企業として世界を舞台に活躍できる非常に高いポテンシャルを感じている」と期待を込めた。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、21年末までに国内外のAI関連291企業に出資しており、累計出資額は1296億ドル。国内では21年10月にバイオベンチャーのアキュリスファーマ(神奈川県藤沢市)、同12月にフリマアプリ「スニーカーダンク(スニダン)」を運営するSODA(東京都渋谷区)に出資。AIメディカルサービスは国内では3社目の出資先となる。
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