黒マスクは恥ずかしい? 日本人の“同調性にフィット”した商品が話題:ゆっくりと黒に(1/3 ページ)
黒マスクを着けるのが恥ずかしい――。そんな思いが開発のきっかけとなった、ある商品がSNSを中心に話題になっている。一体なぜなのか。背景を博報堂ヒット習慣メーカーズ担当者に聞いた。
黒マスクを着けるのが恥ずかしい――。そんな思いをきっかけに開発された、ある商品がSNSで話題になっている。商品名は「黒マスクいつの間に」。初日は白マスク、翌日は薄いグレー、だんだん濃くなっていき、最終日は黒、と日ごとに違う色のマスクを着けられる7枚セットだ。「ゆっくりと黒に近づけていくから、周りの目も気になりません」とうたうが、なぜこの商品が話題になっているのか。消費動向に詳しい専門家に理由を聞いた。
「この商品を考えた人と友達になりたい」
商品の画像とともにこう記されたTwitterの投稿には22万超の「いいね」が押され、「黒マスクってそんなにハードル高い?」「確かに最初は恥ずかしかった」などと異論や共感を含めさまざまな意見が集まり話題になっている。
商品を開発・販売するのは名古屋市に本社を置く生活雑貨店、ヴィレッジヴァンガード。ニッチな雑貨を多数そろえ、ファンからは「ヴィレヴァン」の愛称で親しまれている。
同社によると、企画を立ち上げたのは新型コロナウイルスの流行が始まった2020年。“思わずムフッと笑ってしまうモノづくり”を目指すプロダクト開発チーム「専業ムフ」と共同で、合計9〜10人のチームで作業を始めた。ヴィレッジヴァンガードらしく、“遊び心のある”感染対策グッズを目指したという。その中で目を付けたのが、黒マスクだった。
「当時はまだ黒マスクを身につける人も少なく、まだまだ敷居の高いものでした」と担当者。その後、販売開始が21年12月にずれ込む事態が発生し、街中で黒マスクを着ける人も増えてきたため「商品が受け入れられるか不安だった」というが、「予想に反して多くのお客さまから支持をいただいています」と担当者は胸をなでおろす。
販売にあたり、同社はマスクの色が日ごとに変わるのを周りに気づかれないかどうか、社内で実験したという。
「社員が使用し、担当者が日々確認をしていましたが、4日目までは気付かれませんでした。『この人色が変わってきているな』などの感じも全くすることなく、白から黒にマスクの色を自然に変化させることができました」
もともと話題化を狙った商品だったというが、発売から数カ月後にSNSの投稿をきっかけに一気に広まることになり、開発担当者らも驚いたという。
担当者は「日本人特有の同調性にフィットしたところが、お客さまに支持をいただけたところかと思います」と分析する。
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