黒マスクは恥ずかしい? 日本人の“同調性にフィット”した商品が話題:ゆっくりと黒に(2/3 ページ)
黒マスクを着けるのが恥ずかしい――。そんな思いが開発のきっかけとなった、ある商品がSNSを中心に話題になっている。一体なぜなのか。背景を博報堂ヒット習慣メーカーズ担当者に聞いた。
話題の要因は実益よりもエンタメ性?
日本人特有の同調性――。確かに白マスクを着ける人が圧倒的に多い日本では、黒マスクは少数派かもしれない。「周りの人とマスクの色が違う」という状況に気恥ずかしさを抱く感覚は、何となく理解できる。ただ、これほど商品が話題を呼ぶ理由は、ほかにもあるのではないか。
消費動向などに詳しい博報堂ヒット習慣メーカーズの山本健太さんに詳しく分析してもらった。
山本さんは「『黒マスクが恥ずかしい』というニーズが実際に強いわけではなく、くすっと笑えて誰かに話したくなる”おもしろ日常雑貨”としての側面が強いのではないか」と分析する。
SNSユーザーの反応を見てみると、「憧れの黒マスク」という商品キャッチコピーに対して「そんなに黒マスクってハードル高い?」「黒マスクに憧れは意味が分からない」などと、商品コンセプトに面白おかしく突っ込みを入れているものが多い。
「商品やサービスの開発において、SNSで話題になる1つのセオリーが『話題にしたくなる楽しい商品』。実益が優れていることに加えて、エンタメコンテンツ性のある商品開発は、作り手が楽しみながら開発した商品であることが伝わりやすく、ユーザーと一緒に盛り上がれるという側面があり、話題になりやすい傾向がある」(山本さん)
「これまでの商品でも、白/グレー/黒のセットマスクはあったが、『色が徐々に変わる』という少しシュールで突っ込みたくなる商品アイデアが受け入れられているようだ」(同)
SNSを大勢の人が利用する時代、商品の作り手にとって、SNSを通じて商品の認知を広めるというマーケティング手法は欠かせない。とりわけ、マスクのように誰もが使う商品を広く認知してもらうためには、話題性を作り、露出させる必要がある。その1つの手段として「ユーモラスに見せる」方法が使われているという。山本さんは「この傾向は今後も続いていくのではないか」と話す。
関連記事
- 銀座にダイソー旗艦店オープン 注目の商品から見えてくる販売戦略とは?
大創産業は4月15日、東京・銀座の商業施設「マロニエゲート銀座2」に「ダイソー」ほか3ブランド融合の旗艦店をオープン。銀座への初出店にはどんな狙いがあるのか。オープン前の内覧会を取材し、一押し商品から販売戦略を探った。 - キッコーマン「密封ボトル」しょうゆ、使い切る裏ワザとは 「ピー」の音に隠された”企業努力”に迫る
キッコーマンのしょうゆ「いつでも新鮮」シリーズ。残り少なくなったしょうゆをボトルから絞り出すことができず、泣く泣く捨てるという利用者の声がSNSで話題に。どうすれば使い切れるのか。 - 「イケアのサメ」に「ニトリのネコ」家具大手ぬいぐるみ なぜ人気?
「イケアのサメ」に「ニトリのネコ」――。大手家具メーカーの”看板商品”とも言えるぬいぐるみの人気のわけを探る。 - ウクライナが日本に求めるSAR衛星データとは? 雲に覆われた地表も丸裸にする技術に迫る
ウクライナがロシア軍の動向把握を目的に、日本に人工衛星のデータ提供を求めていることが分かった。日本に要請したとされるのが、夜間や悪天候でも地表を観測できる「合成開口レーダー(SAR)」という技術を生かした衛星データだが、一体、どのような技術なのだろうか。 - 「ヤマザキ春のパンまつり」白いお皿を配り続ける狙いは?
山崎製パンが毎年春に開催する「ヤマザキ春のパンまつり」。開催のたびにSNSで話題になるが、今年は皿の素材に注目が集まっている。白い皿を配り続ける同社の狙いは何なのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.