JR東海、リニア工事で静岡県に具体案 大井川に水を戻す(1/3 ページ)
JR東海は、プレスリリース「中央新幹線南アルプストンネル工事における県外流出量を大井川に戻す方策などについて」を発表した。
JR東海は4月26日、プレスリリース「中央新幹線南アルプストンネル工事における県外流出量を大井川に戻す方策などについて」を発表した。静岡県はリニア中央新幹線のトンネル工事で、静岡県を流れる大井川から流出する湧き水を全て戻すよう求めてきた。これについて同社は今回、山梨側の工事で出た水を大井川に戻すなど具体的な方法を示している。
【訂正:2022年4月27日午後4時53分 初出のタイトルで「JE東海」と記載しておりましたが、「JR東海」の誤りでした。お詫びして訂正いたします】
静岡県が着工認めず
現在、南アルプスで計画されているリニアのトンネル工事については、大井川の源流となる湧き水を流出させて川の水量が減るとして、静岡県が着工を認めていない状況だ。
中央新幹線の工事にかかわる大井川水資源への影響については、国土交通省が設置したリニア中央新幹線静岡工区 有識者会議で、科学的、工学的な議論が進められ、2021年12月に「大井川水資源問題に関する中間報告」(中間報告)が取りまとめられた。
JR東海は、静岡県内で発生するトンネル湧水は、導水路トンネルとポンプアップにより大井川上流部に戻すとしている。例外的に、山梨県側から掘削する先進坑が県境を越えて静岡県側の先進坑とつながるまでの一定期間は、県境付近で発生するトンネル湧水が静岡県から山梨県へ流出する。
だが中間報告では、この間も、解析結果としては、中下流域の河川流量は維持されるとする一方、解析には不確実性が伴うともされていた。JR東海は、工事の一定期間に静岡県から県外へ流出するトンネル湧水量と同量を、大井川に戻す方策を検討してきた経緯がある。
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