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エルメス店舗開店日に5億円散財の女性も。中国で「超富裕層のロレックス」化するバーキン:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/4 ページ)
ラグジュアリーブランドが絶好調だ。ルイ・ヴィトンやティファニーなど名だたるブランドを傘下に持つLVMHグループと、高級バッグのバーキンで知られるエルメスの決算では、中国マーケットの存在感の大きさが鮮明となった。特に高級バッグは投資商品の色も帯び、富裕層は頻繁な値上げも価値が上がると歓迎しているようだ。
エルメス、売り上げの半分超がアジア市場
エルメスは2022年3月、世界最大のiPhone工場が立地する内陸都市の河南省鄭州市に店舗をオープンした。
現地メディアの報道によると、オープン日には4時間並ぶ人もおり、店舗の在庫は1日で売り切れた。バーキンを手に入れるために他商品と抱き合わせのセットを購入し、2596万元(約5億円)を払った女性もいたという。
LVMHグループが4月12日に発表した22年1-3月の決算で、売上高は前年同期比29%増の180億ユーロ(約2兆4000億円)だった。
地域別に見ると、実は日本マーケットが30%増と、欧州に次いで高い成長率だった。日本を除いたアジアは同8%増にとどまったが、新型コロナの感染が拡大し、中国の吉林や上海など大消費地で行動制限が敷かれたことを考えると健闘したといえる。また、すでにLVMHにとってはアジアが世界最大のマーケットになっており、その大部分が中国だ。
エルメスが14日発表した22年1-3月の売上高は同33%増の27億6500万ユーロだった(約380億円)。うち日本を除いたアジアの売り上げは14億4700万ユーロと、半分を占めた。
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