「iモードがなければスマホは誕生しなかった」――KADOKAWA夏野剛社長が語る「日本の経営者にいま必要なもの」とは?:ニコニコ超会議を前に(1/5 ページ)
「ニコニコ超会議」を主催するドワンゴを率いるのは、NTTドコモが運営していたサービス「iモード」の生みの親とされる夏野剛社長だ。国内屈指のIP企業が、宇宙ベンチャー起業に出資した理由を聞いた。
総合エンターテインメント企業KADOKAWAのグループ企業で、動画投稿サイト「ニコニコ動画」などを運営するドワンゴは、毎年4月末に開いていた大型展示会「ニコニコ超会議」(超会議)を、千葉市の幕張メッセで4月29日(金祝)と30日(土)にリアル開催する。
「超会議」は、2012年から毎年4月末に幕張メッセで開かれていた「ニコニコ動画」をテーマにした参加型イベントだ。だが、新型コロナウイルスの影響で2020年と21年は会場開催を取りやめ、オンライン開催のみとなっていた。22年は、19年4月以来の3年ぶりのリアル開催となる。
「超会議」を主催するドワンゴを率いるのは、NTTドコモが運営していたサービス「iモード」の生みの親とされる夏野剛社長だ。夏野氏は、親会社であるKADOKAWAの社長も兼ねる。
その夏野氏は4月11日、ホリエモンこと堀江貴文氏が出資する宇宙開発ベンシャー、インターステラーテクノロジズ(以下IST、本社・北海道大樹町)に、KADOKAWAとして出資することを発表した。
国内屈指のIP企業が、宇宙ベンチャー起業に出資した理由は何か。また、3年ぶりの現地開催となるニコニコ超会議をどのように盛り上げていきたいか。ITmedia ビジネスオンラインの取材に、その狙いを明かした。
夏野剛(なつの・たけし)KADOKAWA社長、ドワンゴ社長。1965年神奈川県出身。88年早稲田大学卒業、東京ガス入社。95年ペンシルベニア大学経営大学院(ウォートンスクール)卒。ベンチャー企業副社長を経て、97年NTTドコモへ入社。99年に「iモード」、その後「オサイフケータイ」など多くのサービスを立ち上げた。2005年執行役員、08年にNTTドコモ退社。セガサミーFD、トランス・コスモス、グリー、USENNEXTHOLDINGS、日本オラクルなどの社外取締役としても活躍。19年からは、KADOKAWA 傘下のドワンゴ社長に就任、業績をV字回復させた。21年よりKADOKAWA社長
スポンサーより出資のほうがいい
――ISTへの出資はどのような経緯で成立したのでしょうか。堀江さんから出資を打診されたのでしょうか。
違うんですよ。最初の時点では、ホリエモンからISTが打ち上げているロケット「MOMO」の機体に「KADOKAWA」って書いて、宣伝してくれないかという話だったんです。でも、別にロケットでKADOKAWAの名前を売ってもしょうがないから、「じゃあ出資するよ」って僕が言って決まりました。
――それはいつ頃ですか。
21年の秋ぐらいだったと思います。このコロナ期間中、なかなか会う機会がないので、どこかでホリエモンと会ったタイミングで、そういう話になりました。まさか僕が出資するとはホリエモンのほうは思っていなかったようでした。
僕はもちろんISTの話はずっと聞いていたし、その取り組みを応援したいなという思いはありました。でも、ホリエモンのほうからは「ちょっと資金的に応援して」みたいな話は今まで聞いていなかったんです。そう思っていた中、ホリエモンのほうから「スポンサーになりませんか」というような話が出たので、それで僕のほうからスポンサーより出資のほうがいいよという話になったんですね。
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