必要なのは“投資”ではなく資産運用 見直されるラップ口座の今:金融ディスラプション(1/2 ページ)
「手数料が高い」とかつて批判を浴びていたラップ口座。それが今、新たな枠組みの中で見直されようとしている。キーワードは、「ゴールベース」と「アドバイス」だ。
「手数料が高い」とかつて批判を浴びていたラップ口座。それが今、新たな枠組みの中で見直されようとしている。キーワードは、「ゴールベース」と「アドバイス」だ。
野村アセットマネジメントは4月28日から、ゴールベースアプローチに基づく投資一任サービス「ゴールベースラップ」の提供を始めた。同社が運用する投資信託を用い、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)が売買実務や顧客へのアフターフォローを行う。
従来のサービスとの違いは、ゴールベースの活用とアフターフォローというアドバイスにある。このゴールベースラップの裏側のシステムを開発した日本資産運用基盤グループの大原敬一社長は、これを資産運用業界における大きな転換点だと見る。「これまで業界は、投資商品を提供していたにすぎない。しかし一般生活者が求めているのは資産運用サービスだ」
「もうかる商品」の販売から、「資産運用」のサポートへ
これまでの資産運用ビジネスとは「投資商品」の販売だった。「この商品は、以前のものよりももうかります、いかがですか?」というモノを売るビジネスだ。ここには、もうかった、損したという話があるだけで、顧客が本当に求めているものの答えにはなっていない。
では顧客が本当に求めているのはなにか。顧客は、例えば老後資金や子供の学費といった「ゴール」に向けて資産を運用する。ならば顧客のゴールに向き合って、必要な額を必要になる時期までに用意するには、どのくらい積み立てて、どのくらいのリスクを取った運用をすればいいのかを決めていくべきだ。これがゴールベースアプローチだ。
これは投資商品を売る手法とは、根本的に意味あいが異なる。顧客と向き合う担当者にとってみると、投資商品の販売であれば「新しい商品ができました。どうですか?」と売るのが仕事になる。販売手数料が収益源だからだ。これは多かれ少なかれ、批判されてきた回転売買につながりやすい。
一方で、ゴールベースアプローチの場合は、顧客が長期間投資を続けてゴール時点で必要とする資産を構築することを手助けするというビジネスになる。そのため、預り資産残高の2%など、売買頻度によらず費用が発生する仕組みを取る。担当者の役割は、新たな商品を買ってもらうことではなく、顧客がゴールに向けて走り続けるように伴走することだ。
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