地元に帰り「女性の仕事の少なさに驚いた」──それでも仕事を諦めない人のための“養成スクール”が誕生した背景:福島県郡山市発(2/5 ページ)
地方では、女性が就ける職業が限られている場合が少なくない。Uターンで福島県に帰り「女性の仕事の少なさに驚いた」と話すのは、ハタフルアカデミーのコミュニティマネージャーの鈴木茜さんだ。この課題を打破するため、開校したWebデザイナー養成スクールのハタフルアカデミーとは、どのようなものなのか。
「東京とは違うので」 女性の仕事の少なさに自身も苦労
ハタフルが今年開校した「ハタフルアカデミー」は女性限定のスクールではないが、受講生も説明会参加者も女性が7割以上だ。そして、このスクールが生まれた背景にも、地方に住む女性のキャリア形成への課題感が深く関わっている。
ハタフルアカデミー コミュニティマネージャーの鈴木茜さんは、福島県の出身だ。大学進学のために上京してからそのまま都内で就職し、ガラケーのゲームや広告を制作するITベンチャーで人事を経験。転職し、アパレル企業のEC部署で年間数億円もの売り上げがあるブランドのECを運営するなどしていた。
3年ほど前に福島にUターンし、「女性の仕事の少なさに驚いた」。鈴木さんは「リクルートエージェントなどのメジャーな求人媒体で探しても、Web業界のキャリアを生かせるような求人はおろか、そもそも県内企業の求人が載っていませんでした。ハローワークへ行っても、希望する条件の職種や年収を出す企業はないと言われました」と当時を振り返る。
「『東京とは違うので』とピシャリと言われ衝撃的でした。同様の経験をしている女性は多いはず。就職先の少なさが、IターンやUターンの少なさにつながっているのではないかと、自分の経験を通して実感しました」(鈴木さん)
ハタフル 代表取締役社長の臼井翼さんも「東京のIT系企業でエンジニアをしていたような人でも、ここでは生かす場がないため、地元のスーパーのレジ打ちをしているという話を聞きます。キャリアを生かせない環境のため、埋もれている優秀な人材が多いのではないか、それはもったいないのではないかと考えていました」と話す。
こうした課題感を持ち、以前から家庭や子どもを持つ女性も積極的に採用してきた臼井さんと、東京から戻ってきてカルチャーショックを受けた鈴木さんの経験が重なり、ハタフルアカデミーの開校につながった。
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