サイゼリヤがコロナ前をはるかに上回る利益水準になった理由:NEW! 妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(5/7 ページ)
決算書で分かる日本経済の動向という事で、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのはサイゼリヤです。もちろんイタリアンのファミリーレストランであるサイゼリヤを運営している企業です。
円安、資源高の悪影響はどうなる?
また円安の影響や資源高、物流コストの増加などで原料高や物価上昇が進んでいるわけですが、そういった影響はどのように出ているのでしょうか。
国内のサイゼリヤの原価を見てみると、為替の悪影響が2.8億円あったとしています。しかし、メニューミックスの好影響が6.2億円ほどあり、その影響を相殺しています。
メニューミックスによる好影響というのが何なのかというと、利益率の高い商品が売れたので粗利率が上がったよという話です。
飲食店のメニューというのは全て利益率が同じということはなくて、高利益率の商品もあれば低利益率の商品もあります。例えば100円均一の回転ずしなどが分かりやすいですが、まぐろやウニ、いくらといった商品は原価率が高く6割以上ということもありますが、タマゴやツナ、かっぱ巻きなどはその半分以下の原価だったりします。子供が好きなメニューの原価率は低い傾向にあるので、回転寿司はファミリー向けになっているワケです。
そんな感じで、回転寿司でいうところのタマゴやかっぱ巻きのような高利益率の商品が、サイゼリヤでもよく売れたよということで粗利面の好影響があったということです。
また、コロナ禍で客単価は3期連続で増加しています。
サイゼリヤが値上げをしたことや、コロナの影響で注文は少なめでドリンクバーだけでおしゃべりといった使い方が減って、しっかり食事をとりに来ている顧客が増えたということもあるでしょう。しかし根本的には、販売戦略がうまくいっていて客単価や粗利率が増加していると考えられます。
円安が大きく進んだのは、この決算発表後の3月以降ですから、為替の影響による国内の原価上昇は、今後さらに進んでいき悪影響は大きくなっていくわけですが、原価上昇の悪影響をどの程度相殺できるのかは注目です。
関連記事
- コメダ珈琲は、なぜコロナの悪影響をあまり受けなかったのか?
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。第3回目として取り上げるのはコメダホールディングスです。もちろんコメダコーヒーの運営をしている企業です。 - 吉野家は、飽和する国内市場でなぜ郊外と女性に目をつけたのか?
今回取り上げるのは吉野家ホールディングスです。牛丼チェーンの吉野家を中心に展開していて、それ以外にも大きなチェーンでははなまるうどんもこの吉野家グループの企業です。最近は本業以外の部分でも話題になることが多い吉野家ですが、今回はそんな吉野家の現状と今後について考えていきましょう。 - QBハウスがコロナ禍でも「客を離さない理由」 秘密はビジネスモデルにあり
なぜQBハウスはここまで拡大できたのでしょうか。早いから? 安いから? 確かにそうかもしれません。しかしそれだけでは拡大できないのがビジネスの世界。今回は早い安いに裏打ちされたQBハウスの強みについて紹介します。 - 会計クイズ ゲームメーカーの任天堂はどちらでしょう?
分かりにくいと思われがちな財務諸表。この記事では、会計初学者をターゲットにした貸借対照表の基礎についての解説をした上で、「会計クイズ」を出します。押さえるところを押さえれば、貸借対照表は決して難しいものではありません。 - 会計クイズ どちらがZOZOの損益計算書でしょう?
前編では貸借対照表の簡単な読み方と、「どちらが任天堂でしょう?」という会計クイズを出しました。今回は、会計初学者をターゲットにした損益計算書の基礎について解説した上で、同じ用に「会計クイズ」を出します。段階利益を押さえれば、損益計算書も難しいものではありません。 - ビジネスパーソンのためのSaaS KPI入門
ビジネス用語として定着した“SaaS”ですが、このビジネスを理解する上で欠かせないのが「SaaS KPI」と呼ばれる指標です。この記事では、SaaSビジネスにおいて、国内トップランナーであるfreeeの決算説明資料を基に、ビジネスパーソンが最低限押さえておきたいSaaS KPIの解説を行っていきます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.