2015年7月27日以前の記事
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時価総額4兆円のルナ、一夜で価値ゼロに ステーブルコインUSTはなぜドル連動が崩壊したのか金融ディスラプション(2/5 ページ)

時価総額4兆円を超える仮想通貨でも、一夜で価値がゼロになることがある。今回、韓国のソウルに本社を置くテラフォームラボの仮想通貨「ルナ(Luna)」に起こったことがそれだ。

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USTがドルと連動する仕組み

 今回のルナの暴落は、ステーブルコインであるテラUSD(UST)で起きた異変がきっかけだ。ステーブルコインとは法定通貨と価値が連動するように設計された仮想通貨を指す。USTでは、米ドルの価値と連動するよう作られていたが、5月10日に入って急落。一時は1USTが0.3ドルまで下落し、連動が完全にはずれてしまった。


ドルと価値が連動するはずのUSTの価格に異変(CoinMarketCap)

 なぜ、USTはドルとの連動が外れてしまったのか。それを探るには、USTがどんな仕組みでドルと連動しているのかを知る必要がある。

 通常、テザーUSD(USDT)やUSDコイン(USDC)などのステーブルコインは、裏側に同額の法定通貨を保有することで、価値を保証している。発行元には必要なドルが保管されていて、1USDCを発行元に持っていけば、1ドルで買ってくれる。これが、ステーブルコインの価値をドルに連動させる仕組みだ。

 一方で、USTでは法定通貨を保有するのではなく、仮想通貨のルナを準備金として用意したところに工夫があった。つまりUSTを持っていけば、時価で1ドル相当のルナがもらえるわけだ。

 もしUSTが0.9ドルで売られていたら、それを買ってルナに替えれば、1ドル分のルナが手に入る。これはノーリスクで0.1ドルを手に入れられるということだから、USTが1ドルを下回っていたら、たちまち買い手がついて1ドルまで上昇するはずだ。こうした行動をアービトラージといい、アービトラージを行う人によって平常時はUSTが1ドルを維持していた。

 クラッシュ直前のUSTの発行量は185億ドル(約2兆4000億円)分。一方でルナの時価総額は300億ドル(3兆6000億円)前後で推移しており、仮にUSTがすべてルナに替えられてもルナには余裕があるはずだった。

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