一度は廃れた「焼き芋」がなぜブーム? ドンキは通年販売、コンビニ3社は“冷やし”を提案:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
一度は廃れた「焼き芋」がブームになっている。ドンキやマルエツでは通年販売しており、コンビニ大手も冷やし焼き芋を提案する。専門店も増えており、関連するイベントも盛り上がっている。
若者にも浸透
一方で、若い人たちに焼き芋の人気を広げたのは、ドン・キホーテと考えられる。
同社の店舗でも、主に店頭の出入口付近に電気式焼き芋オーブンを設置している。集客装置としての役割も大きい。ドン・キホーテをはじめパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が運営する店舗は国内に602店あるが、多くの店で焼き芋を販売している。
ドン・キホーテが焼き芋販売に取り組んだのは、11年の東日本大震災の際、茨城県の農家のサツマイモの売り先がなくなって困り果てているという話を聞いたからだ。それまでも一部、東京の店舗で売ってはいたが、今のような店の名物ではなかった。
「お求めやすい低価格で販売したから、お客さまに認知が広がったのではないか」(同社・広報)というのが見解。品種は主に紅はるかを使用。参考価格はLサイズで213円(店舗によって商品ラインアップ、価格が異なる)。
年間売り上げは15億円を突破し、年間販売本数は1230万本に達している(20年10月〜21年9月/PPIH国内の全数値)。
焼き芋は甘みを最大限に引き出すため、特殊な焼き芋機でじっくりと焼き上げている。サツマイモをゆっくり加熱することで甘みが増すので、ヒーターの改良を重ねている。サツマイモの状態に応じて、焼き上がりの温度を設定。一年中おいしい焼き芋を提供できるようにしているという。
味に統一性を持たせるため、指定した農園の厳選された素材のみを取り扱っている。
年間商品として取り扱うようになったのは、15年からだ。17年5月までは、温かい焼き芋を通年販売していた。
同年6月からは、それとは別に原料の甘さを生かした冷やし焼き芋を夏季限定で販売し、好評を博している。18年夏季より冷やし焼き芋の通年販売を行う店もある。
PPIHグループでは、焼き芋を「日常食」として位置付ける。専門店の広がり、サツマイモ栽培農家の増加に鑑み、今後も焼き芋ブームは続くと想定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。
スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。
290円ラーメンに250円定食 びっくりドンキー、幸楽苑、なか卯で進む「朝食革命」の正体
朝食に力を入れる外食チェーンや飲食店の動きが目立ってきた。ハンバーグ専門店「びっくりドンキー」、タピオカや台湾料理の専門店「春水堂」などが参入している。どのような戦略を打ち出しているのか。
「高級食パン」ブームは本当に終了したのか? “大量閉店”騒動が隠した本当の姿
「高級食パンのブームが去った」という報道が目立つ。SNSでは“大量閉店”の情報が飛び交う。最新の「高級食パン勢力図」から見えてきたものとは?
「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。


