<任天堂決算>減収減益+スイッチ500万台減! マイナスイメージは視点1つで“逆転”も(2/2 ページ)
任天堂の2022年3月期(21年4月〜22年3月)通期連結決算が発表されました。注目の企業だけに、多くのメディアから決算の記事が出ました。一見するとマイナスイメージに見えるものも、視点1つで別の景色が見えてきます。
3期連続の出荷2000万台突破
ただし、決算を2年間ではなく、もっと長い期間で見ると、視点が変わって別の景色が見える……“逆転”するのです。
それは、ニンテンドースイッチの出荷数が、通期で3期連続の2000万台を突破したことです。社会的ブームを起こした「Wii」や、1億5000万台を売ったソニーの「PS2」でさえ、2000万台は2期連続まで。偉大な“先輩”たちを超えたのです。
そしてニンテンドースイッチの23年3月期(1年間)の出荷計画は、2100万台。……ということは、計画を達成すれば4期連続になるわけで、「ニンテンドーDS」と並んで、家庭用ゲーム機の最高記録となります。
スイッチはニンテンドーDSが成し遂げた3000万台には、まだ届いていません。しかし、今は無料で面白いゲームが遊べてしまうスマホゲームがあり、スマホゲームは世界のゲームソフト市場(20兆円)のうち半分を支えていて、家庭用ゲーム機のシェアは4分の1にすぎません。専用ゲーム機を取り巻く状況は、DSの時代よりも厳しいだけに、より価値があるのではないでしょうか。
そう考えると、22年3月期の減収減益、スイッチの出荷数500万台減も「ささいなこと」になります。そもそもピークを超えたゲーム機は売れなくなるのは当然のことで、その減少幅をいかに緩めるかが勝負です。
もちろん、減収減益でもうなるほどの現金を保持し(現金・預金だけで1兆1000億円以上!)、経営的に盤石すぎる任天堂にも課題はあります。決算説明会の質疑応答でも触れている通り、スイッチの計画(2100万台)の達成には、新規購入と複数台購入の最大化が必要でしょう。
また、サブスク「ニンテンドースイッチオンライン」の会員数は現在の3200万(2021年9月末時点)から増やす必要もあり、いつかは来るであろう新型ゲーム機の世代交代に向けて準備しないといけません。
それでも、スイッチが累計出荷数を今後どこまで積み上げられるのかは、興味の尽きないところです。
書き手:河村 鳴紘(かわむら・めいこう)
ゲーム、アニメ、マンガなどを主戦場にするフリーランスのサブカルライター。ヤフーオーサー、マンガ大賞選考員。メディア所属時には、決算会見や各発表会に参加し、独自記事なども執筆。20年以上ゲーム業界を中心に取材している。2020年5月、「ドラゴンクエスト」大ヒット連発なぜ? 30年前の伝説の熱狂」でヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞した。「文春オンライン」や「Number Web」(ともに文藝春秋社)などでも記事を執筆。静岡放送などでラジオに出演することも。
ヤフーニュース個人:「河村鳴紘のエンタメ考察記」
Twitter:@kawamurameikou
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