仲間の死、脳梗塞に倒れたドラマーの復活 ラウドネスが切り開くビジネスモデルの「誕生前夜」:CDや配信の「次の一手」(3/8 ページ)
デビューから41周年を迎えた日本のヘヴィメタルバンド「LOUDNESS(ラウドネス)」。所属事務所の社長に、コロナ禍以降のラウドネスの活動、ビジネスモデルについて聞く。
脳梗塞で倒れたドラマーが全国ツアーで復活
――コロナ禍という自分たちではコントロールできない状況によって欧州のフェスに参加できないことは残念ですね。他の地域での活動は、どう振り返っていますか?
1989年は、韓国、シンガポール、香港とアジアツアーも実施しました。韓国はオリンピックの翌年で、日本でいう日本武道館のような会場で2daysライブをしましたが、どちらも満員でした。
その頃は、(歴史的な理由で)日本語が解禁されていませんでしたから日本語のCDも販売できない時代です。CDも正規には流通していなかったと思うのですが、当時のボーカルが米国人だったこともあり、ライブが実現して、かなりの支持を得ていました。
一方で、正規にCDが流通していたマレーシア、シンガポール、インドネシアでは熱狂的な人気でした。その分、誰も見たこともない海賊版も出回っていたのは困ったものでしたが。
――日本から欧州、米国、アジアと、文字通り世界で活動してきた41年間でした。40周年ツアーはどう展開していきますか?
もちろんニューアルバムの曲を中心にやろうとは思っているのですが、このツアーでは2018年に脳梗塞で倒れたドラムのアンパン(鈴木政行)が初めて全国ツアーにフルで出演します。
21年末にはフルライブでドラムをたたいたのですが、それまではサポート・ドラマーと2人で分担したりしていたので、フルステージのツアーに出るのは17年以来です。
海外については、まだ全然行けていないですね。欧州ツアーも23年に延期になったので、再々延期で4年越しになります。22年に一部開催予定のフェスもありますから、単発で行くことはあるかもしれません。ただ、各国で新型コロナの感染状況の違い、隔離政策の違いもあり不透明な点が多い状況です。
――やはり新型コロナによるビジネス上の影響は大きかったですか?
大打撃ですね。ライブを開いて、グッズを売るのが本来の収益モデルだからです。CDを販売すること自体は、本筋のビジネスからは外れています。CDは既に売れなくなっていますから、安定的なビジネスモデルではありません。
現状はライブ開催とグッズ販売が、売り上げの8割を占めています。CDは、以前のように数万枚という数字にはなりません。いまは1万枚売れればよく売れた方なのです。昔なら10万枚くらい売れれば、だいぶ大きなビジネスにはなったのですが……。配信やストリーミングは、ビジネスとしてはあまりに小さいのです。
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