ハンバーガー店が増えすぎている!? 激戦区「渋谷」「吉祥寺」で見た“淘汰”の兆し:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
コロナ禍の影響で、ハンバーガー店への新規参入が相次いだ。競争が激化した結果、淘汰されるケースも。激戦区である渋谷と吉祥寺では何が起きているのか?
淘汰の兆候は別のエリアでも
隣駅の原宿でも、ジューザバーガーの東京2号店が、21年4月にオープンしたものの、集客できずに短期間で既に閉店している。
東京・秋葉原では観光客、特にインバウンドが激減した影響で、和牛バーガーを提供していた「ヘンリーズバーガー」が20年6月、「ユーロカフェ」が21年9月に、共に閉店している。
東京・立川では、駅北口のメインストリートに21年12月、ブルースターバーガーがオープンして行列をつくっていた。しかし、人気が落ちたのか、去る5月16日より当面休業していたが、5月31日で閉店が決まった。同日、神戸元町店も閉店する。
外食に手慣れた企業が手掛けた話題店でも、軌道に乗らずに苦戦するケースも目立ってきた。
このように、都内の繁華街におけるハンバーガーの競合が激しくなる一方、郊外のロードサイドは相変わらずマクドナルドとモスバーガー、KFCの牙城で、3社にとって楽な展開になっている。
しかし、グルメバーガーでこのゾーンと駅前の間にある、住宅地に切り込もうというチェーンも出現している。
兵庫県西宮市に本店がある「淡路島バーガー」がそれだ。07年より、神戸のなゆたという会社が経営している。FC(フランチャイズ)で店舗を増やしており、開店閉店ドットコムを閲覧すると、コロナ禍に入った20年3月以降、11店が新たにオープンしている。
淡路島バーガーは淡路島産の「完熟たまねぎ」を使用。ビーフ100%のパティで、レタス、トマトなどの素材も国産にこだわる。駅前立地の店は少なく、住宅街に入った立地の店が多い。席数20席以下の小型店で、少人数で回して、テークアウトやデリバリーを狙っていく独特な戦略をとる。
ハンバーガー店の競争は確かに激化しているが、都市部の主要駅の駅前に限られている。郊外の住宅地やロードサイドでは、まだ競争が緩くて、業態次第では売り上げを伸ばせる余地を大いに残している。
2022年5月25日午後6時20分、一部表記を修正しました
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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