白髪のおじさんがキュートに踊る? 企業がTikTokをやってみて、分かってきたこと:三陽工業とダイキンに取材(6/6 ページ)
TikTokで採用活動を行うのはアリなのか、本当に効果があるのか。大手空調メーカーのダイキンと、「おじさん」TikTokを運営する三陽工業に話を聞いた。採用広報のニュースタンダードを考える。
企業がTikTokを活用する狙い
三陽工業とダイキンの話を聞くと、就活生に正しい企業理解を促すことや、認知拡大という面でTikTokの「躍ってみた」は効果が見込めそうだが、就活のプロフェッショナルはどのように考えるのだろうか。
マイナビの高橋誠人編集長は「企業は採用において、自社の認知度、理解度、志望度を高めるために、対象となる就活生に対しさまざまな手法、内容を発信していかなければならない。特に、Z世代と呼ばれる若者のライフスタイルや志向に合わせて、短時間で気軽に視聴できる、SNSでの短時間動画を使用し始めているのではないか」と話す。
高橋編集長によると、新卒の採用活動においては第一に、多くの学生に自社を知ってもらうことが必要だという。昨今はWeb広報がメインになっており、中でもYouTubeやInstagramストーリーズのような動画は利用率が高く、若者との親和性も高いそうだ。
「学生が日頃使い慣れている情報収集ツールが企業の採用広報に使われるのは自然な流れである」(高橋編集長)
学生も就活でTikTokを活用か
動画マーケティング支援を行うサンエイト(東京都新宿区)の調査によると、約80%の学生が「TikTokがきっかけで企業に興味を持ったことがある」と回答している。
企業に興味を持った理由としては、「企業イメージがつかめた」「簡潔に企業の魅力が分かった」という意見が挙がった。
企業の「踊ってみた」は効果があるのか
マイナビの高橋編集長は「『踊ってみた』と言うのは、従来の採用広報で伝えられる情報ではなく、『社風』に注目して入社企業を決める就活生にはマッチしているのではないかと考えられる。『マイナビ2023年卒大学生大学生活活動実態調査(3月1日)』において、就職先として企業を選ぶポイントを調査した際、『安定性がある66.8%』に続き、『社風や働く社員が良い・良さそう』が65.3%と2位に続いている」とコメントした。
とはいえ、TikTokに限らずSNSは炎上のリスクと隣り合わせであることも忘れてはいけない。高橋編集長は「知名度の低い中小企業やBtoB企業はバズれば会社の知名度が一気に上がる可能性もある。一方で、発信する内容を慎重に精査しないと、逆に炎上してイメージダウンを招く可能性もあるので注意が必要だ」と話す。
過去には、ある企業が新人研修の内容を伝えようとしたところ、それが視聴者には「ブラック企業」と受けとられ炎上したケースがあったという。採用活動においても、SNSを用いた情報発信は、細心の注意を払って実施したいものだ。
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