「サーモン」輸入にウクライナ侵攻の影響 それでもスシローやくら寿司が大きく慌てていない理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
ロシアのウクライナ侵攻がサーモンの輸入に影響を与えている。特に、ノルウェーからの空輸便がロシア上空を通過できなくなっている。一方で、スシローやくら寿司などがサーモン不足に陥っていない理由とは?
回転寿司への影響は?
回転寿司各社のサーモンへの対応はどうか。
「スシロー」チェーンを展開するあきんどスシローでは、110円の皿では、ノルウェー、チリなどの冷凍品を仕入れている。ノルウェーだけでなくさまざまな国から調達しているので、品切れを起こす事態は起こっていない。
チルドでは、5月12日から期間限定で「青森県産生サーモン」を販売している。世界遺産・白神山地からの流水と津軽海峡の潮の流れで育ったサーモンを使用しており、こだわりの商品として位置付ける。引き締まった身と上品で程よい脂ののりが特長で、顧客からの評判が良いという。
「くら寿司」でも、ノルウェー、チリ、カナダなど、約500店ある店舗に行き渡るように1つの産地ではなく数カ国に分散させている。年間契約で購入しているので現状の問題はない。
フェアで国産のご当地サーモンも扱っている。5月10〜22日、昨年に続いて福井県産の希少な「ふくいサーモン」を販売。脂の甘みとフレッシュさが抜群と好評だそうだ。
ゼンショーグループの「はま寿司」でも、ノルウェーのほかにも、チリ、フェロー諸島、英国、デンマークと5カ国から輸入していて、リスクヘッジは万全。「在庫は全く問題ない」(はま寿司・広報)とのことだ。
カッパ・クリエイトの「かっぱ寿司」において、サーモン、とろサーモン、焼きサーモンの原産地はどうなっているのか。チリ、ノルウェー、デンマーク、英国、ロシア、日本、トルコ、スウェーデン、アイスランド、エストニア、フェロー諸島、ポーランドと多岐にわたる。数あるネタでもこれだけ多数の国から調達しているのは、サーモン系のネタだけで、それだけ万全を期しているのだろう。
このように、回転寿司各社ではサーモンを、ノルウェーだけでなくさまざまな国から輸入していて、リスクを回避するポートフォリオを組んでいた。同様に、カニ、イクラのようなロシアとの交渉が必要なネタについても、リスク分散と年間契約で、必要分を確保している。
その一方で、国内に100種類以上あるといわれる、中小零細のご当地サーモンをスポット的に取り入れて、グルメ志向の強い回転寿司ファンに喜ばれている。
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