ビルから列車を眺める“だけ” 応募が殺到する私鉄協会のイベント、開催の狙いは?:立地を生かしたユニークな取り組み
ビルから列車を眺める“だけ”――。関東の私鉄各社でつくる団体が主催するユニークなイベントに応募が殺到し、参加受付を一晩で締め切るほどの人気となっている。ビルの会議室から列車が行き交うのをひたすら眺める催しだというが、開催の狙いは何なのか。イベントの魅力とあわせて担当者に聞いた。
ビルから列車を眺める“だけ”――。関東の私鉄各社でつくる団体が主催するユニークなイベントに応募が殺到し、参加受付を一晩で締め切るほどの人気となっている。ビルの会議室から列車が行き交うのをひたすら眺める催しだというが、開催の狙いは何なのか。イベントの魅力とあわせて担当者に聞いた。
「ビルの真上から列車を眺めると、普段は気づかない『おやっ』と思う楽しみがたくさんあります」
こう話すのは、関東鉄道協会広報部の大津勝巳さんだ。
協会は、東急や東武、西武鉄道など関東の私鉄43社で構成。私鉄の利用促進を通じて、地方民営鉄道の維持や沿線地域の活性化を図ることなどを目的に、1947年に設立。イベントの開催やTwitterなどを使った観光情報の発信に力を入れている。
どんなイベント?
東京・大手町の協会が入るビルはJRの線路に隣接し、16階にある協会の会議室は、列車が行き交う様子を真上から眺められる格好のスポットだという。
「私鉄協会のイベントですが見てもらうのはJRの列車。と、そこは矛盾がありますが……」と大津さんは苦笑するが、鉄道ファンにとってはどちらでも楽しい。
6月11日に開催を予定するこのイベントは、21年3月末に実施し好評を博したことから、今回3回目の実施となる。多数の応募が予想されたため抽選制とし、5月25日に協会公式WebサイトやSNSでイベント概要を周知。同30日午前11時から募集を始めたところ、一晩で多数の応募が集まり、翌31日午前11時に募集を締め切った。
「反響は想定内です。これ以上受け付けても落選者が増えてがっかりさせてしまうので、早めに募集を締め切りました」(大津さん)
会場となる協会会議室には、2メートル四方の窓が6枚ある。午前10時〜午後5時45分までの45分交代制で計8枠の時間を設定。1枠あたり6組(1組4人まで)を募集した。
応募する層は、鉄道好きの子どもがいる家族連れが多いほか、親子3世代で訪れる参加者もいるといい、幅広い年齢層が関心を寄せていることがうかがえる。
鉄道模型を眺めるような面白さ
ビルの会議室から列車を眺める魅力は何だろうか。
大津さんは「北陸・上越新幹線の車両(E7系・W7系)には、屋根に号車番号が書かれていたり、山手線の一部の編成には、屋根に架線の様子を監視するためのカメラやライトなどの装置が付いていたりします」と話す。列車を正面から見るだけでは気づくことができない特徴がたくさんあるという。
また、ラッシュアワーの時間帯は列車が次々と走行する迫力ある景色も楽しめるという。16階から眺めることで「目線的には鉄道模型を眺めているような気分が味わえる」と大津さんは話す。
協会は6月末で紀尾井町へと移転することが決まっており、ビルから列車を眺めるイベントはこれが最後となる。大津さんは「引き続き鉄道の魅力を伝えるイベントを展開していきたい」としている。
関連記事
- 新幹線から富士山見やすく――JR東海、車内スペースを改良 狙いは?
JR東海は東海道新幹線の最新車両「N700S」を2023〜26年度にかけて、追加で19編成投入すると発表した。追加投入にあたり、車内スペースを一部改良。多目的室の窓の高さを変更し、車いす利用者がより景色を楽しめるようにする。改良の狙いを担当者に聞いた。 - 味の素“シンプルすぎる”レシピ 10年前に開発したメニューがいま大人気の訳
味の素が開発したレシピが「シンプルすぎる」と大きな話題を呼んでいる。豚ひき肉のかたまりをマヨネーズで味付けし、そのまま焼くだけ――。Webサイトにアクセスが集中し、一時パンクするほどの注目を集めたレシピは、2010年に開発したもの。なぜいま、反響を呼んでいるのか。開発した経緯などを担当者に聞いた。 - 「イケアのサメ」に「ニトリのネコ」家具大手ぬいぐるみ なぜ人気?
「イケアのサメ」に「ニトリのネコ」――。大手家具メーカーの”看板商品”とも言えるぬいぐるみの人気のわけを探る。 - 廃業決めた老舗和菓子店を救済 社長が語った「マクドナルドを見習え」の真意
看板商品「相国最中(しょうこくもなか)」などで知られ、5月16日に廃業を発表した和菓子店「紀の国屋」。26日、スイーツのインターネット販売を手がけるアイ・スイーツ(東京都文京区)は、紀の国屋の元従業員20人を雇用し、「匠紀の国屋」として新たに事業を始めると発表した。廃業の発表からわずか10日で新ブランドでの再始動が決定――という急転直下の事態に驚きの声が上がる。この間に一体、何があったのか。アイ・スイーツの社長に話を聞いた。 - “ジョジョ立ち”マネキンが脚光 洋服の青山、お堅いイメージ脱する戦略とは?
大手紳士服店の「洋服の青山」がスーツを扱う“お堅い企業”からイメージチェンジを図っている。躍動感あふれるマネキンをショーウィンドウに展示して話題を集めているほか、ツイッターの公式アカウントは直近2年でフォロワー数を20万人以上増やしている。一体、どのような戦略を取っているのか。担当者に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.