親指サイズの文房具「キングミニ」誕生 企画会議は紛糾、社長が「面白い」と唸ったアイデアはこうして生まれた:キングジムに聞く(1/3 ページ)
「面白いと思う。私は好きだな」。商品化を後押ししたのは、社長の一言だった。オフィス文具メーカーのキングジムが6月10日に発売する「キングミニ」シリーズは、実際に使えるミニチュアサイズの文房具。このアイデアは、ある社員の仕事帰りの楽しみから生まれたという。キングミニシリーズが生まれた経緯を、キングジムの開発担当者に聞いた。
「面白いと思う。私は好きだな」。“前例のないアイデア”に、賛否両論が巻き起こっていた社内。商品化を後押ししたのは、社長の一言だった。
前例のないアイデアとは、オフィス文具メーカーのキングジムが6月10日に発売する「キングミニ」シリーズ。累計販売冊数5億冊越えのロングセラー製品「キングファイル」を親指サイズで再現した「キングファイルクリップ」と、手のひらにのる「キングファイルふせん」、キングファイルをそのまま収納できる「ミニ保存ボックス」の3製品。いずれも実際に使えるミニチュアサイズの文房具だ。
発売前からSNSを中心に「小さくてかわいい」「早く実物を触ってみたい」と話題に。このアイデアは、ある社員の仕事帰りの楽しみから生まれたという。キングミニシリーズが生まれた経緯を、キングジムの開発担当者に聞いた。
“仕事帰りの楽しみ”から生まれたアイデア
開発者の金谷聡志さん(ステーショナリー開発部ステーショナリー課)は、ミニチュアのカプセルトイを買うのが、仕事帰りの楽しみだった。「見慣れたものが、ミニチュアサイズになっただけなのに、何とも言えないかわいさがあります」と金谷さん。そういえば、キングジムにも誰もが一度は見たことがあるだろう定番商品がいくつもある。これらをミニチュアサイズ化したら面白いのでは?──そんな思い付きから、2020年冬に企画が始まった。
企画の初期段階で、既存商品をただミニチュア化しただけでは面白くないし、売れないだろう、という指摘を受けた。ミニチュア要素もありつつ、実用性を付け加えるにはどうすればいいか? 悩んだ末に金谷さんが思い付いたのは、文房具としても使えるようにするという、ミニチュアと文房具のいいとこどりだった。
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