親指サイズの文房具「キングミニ」誕生 企画会議は紛糾、社長が「面白い」と唸ったアイデアはこうして生まれた:キングジムに聞く(2/3 ページ)
「面白いと思う。私は好きだな」。商品化を後押ししたのは、社長の一言だった。オフィス文具メーカーのキングジムが6月10日に発売する「キングミニ」シリーズは、実際に使えるミニチュアサイズの文房具。このアイデアは、ある社員の仕事帰りの楽しみから生まれたという。キングミニシリーズが生まれた経緯を、キングジムの開発担当者に聞いた。
社長の鶴の一声「面白いと思う。私は好きだな」
キングジムの新商品企画は、まず課内ミーティング、部内会議という2段階を通過する必要がある。そして、社長を含む役員に向け、企画者が新商品をプレゼンする開発会議が開かれる。そこで承認された企画のみが、製品化にこぎつけるという“狭き門”だ。
金谷さんが持ち込んだキングミニシリーズは、開発会議で賛否両論を巻き起こしたという。しかし、「面白いと思う。私は好きだな」という社長の一声が後押しした。キングジムが力を入れている、SNS戦略に活用しやすい点も決まり手となり、開発会議を突破。製品化が決定した。
しかし、課題は山積みだった。キングジムでは、担当者自身が、商品の企画や開発・設計、量産試作のスケジュールや予算管理、パッケージや配送用ダンボール・注意書きの作成──といった、製品が形となりお客さまに届くまでの全工程を担当する。その中で生まれる課題は、金谷さん自身が全て解決していかなければならなかった。
多くの課題に直面した金谷さん。中でも2つの大きな苦労があったという。1つ目は、高い技術力がある製造委託先を探すことだ。キングミニシリーズは自社製品のミニチュア化というコンセプトのため、クオリティーの妥協は許されない。クオリティーを維持した上でのミニチュア化には高い技術が求められるため、「製造は難しい」と断られることが多かったという。製造委託先を探すのは難航したが、粘り強い交渉の末、国内でやりとりをしていた製造メーカーから協力を得ることに成功した。
2つ目は、キングジムのどの商品にも付いている、4色のスクエアマークの再現だ。金谷さんは「キングジムの代名詞ともいえるマークです。ミニチュア化しても違和感のないように、サイズの縮尺や色の再現など何度も試作を重ね、細心の注意を払いました」と話す。
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