プライム上場の急成長スタートアップはどんなSaaSを使ってる?:Gunosy編:あの企業が使うバックオフィスSaaS(2/3 ページ)
バックオフィス業務へのSaaSの導入が活発化している。こうしたSaaSを積極的に活用しているのは、しがらみの少ないスタートアップ企業だろう。今回は「グノシー」や「ニュースパス」などのキュレーションアプリの提供で知られるGunosyに聞いた。
現場主導で進めたSaaSの導入
まず、会計領域で導入を決めたのが経理財務の「freee」と管理会計の「Loglass」である。
コーポレート本部長の岩瀬辰幸氏は、「企業規模が大きくなると、業務効率化の観点から、取引発生の度に仕訳を作るわけにはいかなくなる」と指摘する。特に、費用は現場で取引が発生したタイミングで、会計システムにデータが流れ、経理は承認のみを行う方が効率的だ。ERPを導入すればいいが、外資系大手の製品は超大手グローバル企業での利用を想定した設計で、現在のGunosyにはフィットしないと分かった。
代わりに導入したのがfreeeである。freeeであればERP的な設計で、Gunosyがやりたい自動化が可能と判断した。利用開始は21年6月からだ。また、請求書発行でも、営業系との連携に優れることを理由にfreeeを選び、利用している。
管理会計で選択したのは、Loglassである。この分野は、未だにスプレッドシートとExcel頼みの企業が多い。Gunosyの場合は、事業の多角化に伴い、部門別の損益管理が必要になったことが21年秋からのLoglass導入のきっかけになった。選択の決め手は、部門間調整や配賦ドライバーの設定など、管理会計特有の膨大な業務負担を減らしつつ、痒いところに手が届く機能が提供されていることだったという。「業種業態によるとしても、一定の柔軟性を求めつつも、複雑すぎない管理会計を行いたい会社にはフィットすると思います」と、岩瀬氏は評価した。
続いて、人事の分野で利用中の製品を見ていく。人事領域のSaaSには業務ごとに多くの選択肢がある。この状況下、Gunosyが重視したのは、プライム上場企業としてふさわしい堅牢性を確保できるかだ。さらに、新興企業の製品が多く参入する分野でもあり、ベンダーの存続リスクの見極めも必要になる。
Gunosyは業務を確実に進められることを重視して選定を行い、給与計算と労務管理はPROSRVを導入した。この他、勤怠管理でKING OF TIME、健康管理でCarely、人事評価でカオナビ、採用管理でHRMOSを利用している。
法務の仕事環境は、Gunosyの中でもここ数年で最も大きく変わった領域だといえる。20年には判例検索のWestlawを採用。さらに21年に電子契約の締結でDocuSign、契約の管理でLegalForceキャビネを導入した。
パンデミック前のGunosyは、電子契約に慎重なスタンスであったが、全社的にリモートワークを導入したことを機に、方針を転換。働き方改革の一環として、全く出社しなくても仕事のできる環境を整えた。外資系ベンダーの製品を採用したのは、主に投資事業で海外との契約の機会があるためだ。相手の会社が使い慣れた製品であること、権限設定が柔軟にできることを評価し、DocuSignの導入に踏み切った。並行して電子契約書の保管という観点で、LegalForceキャビネの導入を進め、リモートワークにおいての課題の1つを解決した。
以上が、ここ数年の業務効率化の一環で重点的に取り組んできた仕組みを支えるSaaS群である。これらとは別に、業務インフラとしてのGoogle Workplace(旧G Suite)、社外とのファイル共有でBOX、社内ポータルでAtlassianなどを利用している。
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