AIで契約書チェックを行うLegalForceが「契約ライフサイクル」全体カバーを目指すワケ(1/2 ページ)
法務担当者向けに契約実務のサポート機能をSaaSとして提供するLeagalForceは、新たに案件受付の機能を、秋から有料オプション機能として提供する。同社は、案件の受け付けから審査、締結、そして契約書の管理という「契約ライフサイクル」のすべてをサポートすることを目指しており、今回その最後のピースが埋まる。
法務担当者向けに契約実務のサポート機能をSaaSとして提供するLeagalForceは、新たに案件受付の機能を、秋から有料オプション機能として提供する。同社は、案件の受け付けから審査、締結、そして契約書の管理という「契約ライフサイクル」のすべてをサポートすることを目指しており、今回その最後のピースが埋まることになる。
法務担当者の業務内容は、なかなか外からは見えづらいが、次の4つのステップで進む。まず事業部門からの案件を受け付ける。次にその契約書を作成したり、契約書を審査する。続いて双方の署名や捺印で契約を締結する。最後に、契約書を管理するという流れだ。
LeagalForceは当初、契約書の作成や審査にフォーカスし、AIを活用して契約書に含まれるリスクや、修正文面案を提示する機能を提供してきた。19年4月の正式版提供から、利用企業は1000社を突破。多くは上場企業で、200以上の法律事務所も導入している。
読み取った契約書をAIが分析し、例えば秘密保持契約であれば「秘密情報が第三者に開示される例外が定められています」「同意なく、秘密情報が複製される恐れがあります」といった具合に、契約のリスクを提示する。法務担当者は、これを利用することで契約チェックの抜け漏れをなくしたり、チェックにかかる時間を大幅に削減したりできる。
同社が次に取り組んだのが、締結した契約の管理機能だ。「欧米企業は契約内容をマネジメントしてビジネスに生かしているが、日本企業の多くはこれができていない。不要な契約が更新され不要な支出が発生したり、更新すべき契約が更新されず事業に支障が出たり、契約上の権利を行使できず機会損失が発生したりしている」と、角田望CEOは言う。
これを解決するために同社が21年1月に正式提供したのが「LeagalForceキャビネ」だ。PDF形式の契約書などを読み込み、内容を把握。内容を検索したり、種類によって絞り込んだりするなどの管理機能を提供し、契約更新のタイミングでは担当者に期日を通知する機能を備える。すでに150社が導入済みだ。
契約締結の部分は、いわゆる電子契約サービスと連携する形で対応する方針で、すでに電子印鑑GMOサインとクラウドサインとの連携を済ませている。
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