SaaSはバックオフィスの何を変えるのか:本当に効率を上げるためのSaaS(1/3 ページ)
バックオフィス業務を支える便利な道具に、SaaS(サース)がある。営業やマーケティングの分野が先行して導入が進んだが、ここにきてバックオフィスにもSaaSの活用は広がっている。SaaSを導入して効率化された企業もあれば、逆にうまく活用できずに生産性が下がってしまったという企業もある。その違いはどこにあるのか。
バックオフィス業務を支える便利な道具に、SaaS(サース)がある。freeeやMoneyForwardクラウドやSmartHR、楽楽精算、AI Travelなどなど、名前くらいは聞いたことがあるかもしれない。
あなたの会社でも1つや2つは(知らぬ間に)導入されているだろう。便利なソフトが導入されて仕事が効率化された、あるいは面倒なソフトが導入されて困った、といった体験をしている人もいるだろう。
2018年に、日経新聞が「SaaS元年」と報じたように、ビジネスの現場でのSaaSの活用事例は増えている。営業やマーケティングの分野が先行して導入が進んだが、ここにきてバックオフィスにもSaaSの活用は広がっている。
SaaSを導入することによって、経理や人事などのバックオフィスはもちろん、一般の社員にはどのような影響があるのか。またそれによって企業経営はどのように変わるのか? この連載を通じて考えてみたい。
インストール不要なSaaS
SaaSとは「Software as a Service」の頭文字で、ソフトウェアをインストールするのではなく、ネットワーク経由で利用する形態を指す。「クラウド◯◯」と言われるサービスのほとんどがこのSaaSにあたり、基本的にはブラウザ上でログインすることでサービスを利用できるものだ。
2010年代から特に、ビジネス向けのソフトウェアで、インストール型からSaaS型への移行が進んだ。一昔前のビジネス向けのソフトウェアは、PCに1台ずつインストールしてセットアップする必要があったり、自社専用のサーバを用意して構築・運用する必要があったりしたが、これらがSaaSになることで、ブラウザ上でログインすれば、いつでもどこでもソフトウェアを使うことができるようになったわけだ。
自社独自で開発すれば数千万円かかるようなシステムを、多くの企業に使ってもらうことによって、リーズナブルな利用料で使うことができるのもSaaSのメリットだ。安く提供できる理由は、提供される機能を各企業に合わせずに画一的にしているからだ。オーダーメイドの商品と、大量生産されたものでは単価がまったく異なることを考えてもらえれば理解できるだろう。
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