“限界地銀“を食い物に? SBI「地方創生トライアングル戦略」の中身の薄さ:「第4のメガバンク」構想の行方は(2/4 ページ)
SBIホールディングスの北尾吉孝社長が5月の決算発表の席上、新生買収の大きな目的でもある“限界地銀”再生策としての「地方創生トライアングル戦略」を公表した。内容とともに、浮き彫りになったSBIの思惑を考察する。
地銀14行が評価損 第二地銀の経営基盤の弱さ浮き彫りに
22年3月決算で同評価損を計上した地銀は14行。うち清水銀行、スルガ銀行、琉球銀行を除く11行は第二地銀であり、第二地銀の経営基盤の弱さが浮き彫りになった形ではあります。しかしそれ以上に注目すべきは、きらやか、筑波、清水、仙台、島根、福島、東和、大東の7行がSBIの“地銀再生プロジェクト”提携行であるという点です。
もちろん、経営基盤が弱いからこそSBIに支援を求めたわけで、それはそれで納得ではあるのですが、これら7行の資金運用をSBIが担っていた、という点は大いに気になるところでしょう。
例えば先陣を切って19年秋にSBIと業務提携を結んだ島根銀行は、21年3月決算ではSBIの指南による有価証券運用益が改善したことで前年の赤字決算から黒字に転じ、北尾社長が鼻高々にSBIの地銀支援効果を誇示する姿が印象的でした。
しかし22年3月決算では一転、36億円もの有価証券評価損を計上。4月以降ウクライナ情勢の急変、米国の継続的金融引き締め政策の公言等により世界的に相場には重しがかかっており、このままでは外債運用をしている地銀は多額の減損処理を迫られる可能性もあって、島根銀行などは一気に切羽使った状態に追い込まれるかねない状況にあるのです。
同じくSBIの支援提携先のきらやか銀行は、ここに来ての米国金利の急上昇によって外債中心の所有有価証券の評価損が約121億円にまで拡大し、公的資金申請の検討に入ったと発表するに至りました。
そもそも「きらやか銀に運用のプロと呼べる人材がいなかった」(金融当局関係者)という状況下で21年3月決算でも評価損を計上していたわけなのですが、SBIとの提携が本格化した22年3月期が昨年との比較で評価損が4.6倍にも拡大しており、SBIとの提携効果は見られないどころか、むしろマイナスに働いたとすら思える状況です。
関連記事
- 外務省、“ほぼ”FAX廃止→原則メールに 企業では意外と現役?
外務省が、一部を除き、FAXの利用を原則廃止していたことが分かった。前行政・規制改革担当相で、自由民主党(自民党)の広報本部長を務める河野太郎衆議院議員のツイートで外務省のFAX廃止が話題となっており、外務省に確認したところ、事実関係を認めた。業務効率化や紙の使用量削減などが主な狙いだという。 - アート作品「時間を買える貯金箱」が話題 ダイソー時計と“ラズパイ”を活用 制作者の思いを聞いた
「時間を金で買う行為を立体化した」とするアート作品がTwitterで注目を集めている。制作者に作品に込めた思いを聞いた。 - 宝島社の書籍『年収200万円で豊かに暮らす』が物議 Twitterで「暮らせるわけない」などの声 「年収200万円」の国民構成比は?
宝島社が出版した『年収200万円で豊かに暮らす』(759円)という書籍がTwitter上で物議を呼んでいる。6月20日ごろから書籍名の一部を引用した「年収200万」がTwitterのトレンド入りを果たし「色々と地獄を感じた、これを見た時」などの意見が挙がっている。 - 憧れの腕時計ブランド人気ランキング 3位「カルティエ」、2位「オメガ」、1位は?
アンケートサイト「ボイスノート」を運営するNEXERが、「憧れの腕時計ブランド人気ランキング」調査を実施した。 - PC版Webブラウザの世界シェアランキング 3位「Safari」、2位「Edge」、“圧倒的王者”のシェア率は?
米マイクロソフトが1995年から提供していた「Internet Explorer」のサポートを終了したことで「Webブラウザ」に注目が集まっている。Web解析サイト「StatCounter」でPC版Webブラウザの世界シェア(5月末時点)を確認してみた。 - Webブラウザの世界シェアランキング 3位「Edge」、2位「Safari」、“圧倒的王者”のシェア率は?
Web解析サイト「StatCounter」の情報から、Webブラウザの世界シェアと日本国内におけるシェアを改めて確認してみた。 - 「Internet Explorer」サポート終了に自治体「なんで急に」報道 Twitterで「さすがに草」などの声
米マイクロソフトが「Internet Explorer」のサポートを終了したことに関連して、TBSの取材内容が話題となっている。 - 「Internet Explorer」の次は「Windows 10」に要注意? マイクロソフトが心配する次の危機
米マイクロソフト(MS)がWebブラウザ「Internet Explorer」のサポートを終了した。サポート終了間近の製品の状況をまとめた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.