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パナソニック、「15兆円」のスポーツ市場で目指すビジネスモデル:知らないと損?業界最前線(5/5 ページ)
パナソニックが、現在注力する面白い取り組みの1つがスポーツ関連事業だ。スポーツ庁は、2025年に国内スポーツ市場が15.2兆円に達すると試算。同社はメーカーとして製品を売るだけでなく、継続的に価値を生み出し、長期的に利益を創出できる仕組みを作り出そうとしている。
売り上げだけでなく、ブランド力にも寄与
スタジアム照明は、リカーリングビジネスとは異なるが、スポーツ関連市場の売り上げの一部でもある。パナソニックでは29年に、スポーツ関連の年商を150億円、周辺事業を含めて300億円にするという目標を掲げている。
22年5月11日にパナソニックホールディングスが発表した「21年度決算概要」によると、連結での売り上げは7兆3888億円と2年ぶりに7兆円を回復している。
グループ全体の売り上げ規模から見ると、スポーツ事業全体の売り上げ目標である300億円(29年度)や、EW社のリカーリングビジネスの売り上げ目標90億円(25年度)は決して大きくはない。しかし、スポーツ事業には高い継続性に加え、地元都市や市民をも巻き込む力がある。
スポーツチームの運営・サポートを通して地域とつながり、さらにスタジアムやアリーナなどでは、ハード面に加えて演出などのソフト面と、総合的に黒子として支えていく。
またスポーツを通して地元と密着し、長期的にファンを獲得していくことで、パナソニックのブランド認知を広げ、グループ内の別の事業が拡大する可能性にもつなげられる。
日本全国のスタジアムや球場、体育館、アリーナをエンターテインメント空間に転換し、地域と一丸になって盛り上げていくことは、パナソニックブランドを売り上げ以上に高められるというわけだ。
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