なぜ「侮辱症状」を手渡したのか ハシモトホームとスルガ銀行の妙な関係:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
「社内イジメ」のニュースが飛び込んできた。青森県の住宅会社「ハシモトホーム」の営業社員が上司から罵声を浴びせられて、自殺をしてしまったのだ。それにしても、なぜ同社は侮辱症状」を手渡したのか。
ハシモトホームは名門企業
住宅産業研究所の「約15年間でビルダーが台頭、変化した地域勢力図」という記事の中で紹介されている、「都道府県別着工No.1企業」というデータによれば、02年の青森県内の新規住宅着工数でハシモトホームは1位に輝いている。
さらに、『サンデー毎日』に連載中の「会社の流儀」の『東北“三冠王”目指す地域No.1ハウスビルダー 揺るぎない経営基盤と信頼で顧客の心を掴む』(2014年10月29日)の中には、同社がこんな風にヨイショされている。
『株式会社ハシモトホームの願いは地域ビルダー着工棟数・東北NO.1(402棟/2013年4月〜14年3月・リビング通信社発表)、売り上げ100億円(今期/37期)という目標達成とともに結実し、さらに強く、大きくなって顧客のもとへ届けられている』
このことからも、ハシモトホームが青森県でトップを長く死守してきた名門企業だということが分かるだろう。
ただ、その栄光にかげりが見えてくる。先ほどの住宅産業研究所のデータでは、18年度になると青森県のナンバーワン企業は一条工務店になってしまうのだ。もちろん、着工棟数がすべてではないが、さまざまなクチコミサイトを見てもハシモトホームに対しては、他社に比べて営業マンの対応が悪いとか、アフターケアへの不満などが多く書き込まれており、かつてほど「結果」が出なくなっていたことがうかがえるのだ。
ポイントを整理しよう。長く「地域No.1ハウスビルダー」だったハシモトホームは近年、他社の台頭もあって苦しい戦いを強いられており、18年には「首位転落」をしてしまう。営業職男性が上司からの執拗(しつよう)なパワハラの末、自殺をしたのはまさにそんなタイミングである。
業績の悪化が「現場の人権侵害」につながったスルガ銀行と妙に重ならないだろうか。
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