野村総研、「テレビ消せばエアコンの1.7倍の節電効果」レポートに注意喚起 「11年前とは家電の性能が異なる」
野村総合研究所(野村総研)が11年前にまとめた「テレビ消せばエアコンの1.7倍の節電効果」と記載したレポート内容がTwitterで注目を集めている。これに対し野村総研は「当時と今では家電の性能が異なる。参考程度にとどめてほしい」と注意を呼び掛けている。
「テレビ消せばエアコンの1.7倍の節電効果」──政府が企業などに節電を呼びかける中、野村総合研究所(野村総研)が11年前にまとめた、節電に関するレポート内容がTwitterで注目を集めている。これに対し野村総研は「当時と今では家電の性能が異なる。参考程度にとどめてほしい」と注意を呼び掛けている。
話題になっているのは野村総研が2011年4月にまとめた「家庭における節電対策の推進」という調査レポート。11年3月の東日本大震災による東京電力の福島第一原子力発電所での事故を受け、政府(当時は民主党政権)が節電対策を検討する中、同社は家庭で実践できる節電対策を独自調査を基にまとめた。
レポートでは「主な節電対策を講じた場合の1軒あたりの期待節電量」を696Wと設定。このうち「使用するエアコン台数を減らす」では130Wの節電効果があると明記した。これに加え、「テレビをこまめに消す」ことで220Wの節電効果があるとも記載していた。エアコン削減の1.7倍の節電効果がある計算になる。
ただ、野村総研は「家庭でお金をかけずにできる節電対策の中では『エアコン使用台数削減』が期待節電量が大きい割に実施率が低く、有効なプロモーション活動を行えば、大きな追加節電効果を期待できる」と記載しているように、テレビの電源オフによる節電効果はレポート内で強調していなかった。むしろエアコンの使用台数を減らすべきという主張だ。
当時の週刊誌報道が原因か
ここまでTwitterで話題になった要因の一つが、当時の週刊誌の報道だ。小学館が運営する「NEWSポストセブン」は11年8月10日付けの記事で「黙殺された野村総研の“TV消せばエアコンの1.7倍節電”報告」との見出しとともに、野村総研のレポート内容を報道した。
記事では「エアコンを使わずに熱中症で亡くなる人が続出している。にもかかわらず『テレビを消す』という選択肢を国民に知らせないテレビ局は社会の公器といえるのか」と当時のマスコミ報道を批判していた。こうした記事が何者かによって“発掘”され、拡散されたことで大きな話題になったとみられる。
野村総研は取材に対し「話題になっているのは11年前のレポート。レポートを手掛けた担当者は既に辞めている上、当時と今では家電の性能が大きく異なる。電力の使用状況も当時のものなので参考程度にとどめてほしい」と注意を呼び掛けている。
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