食洗機を阻む30センチの壁 「一家に一台」になれるのか、メーカーの苦悩:令和の神器(2/4 ページ)
令和の現代人に欠かせない「新・三種の神器」は、「ドラム式洗濯機」「ロボット掃除機」「食洗機」だといわれている。スリーエムの調査によると、新・三種の神器のうち、いちばん多くの人が所有している家電は食洗機(36%)だった。しかし詳細を見ると、新築や持ち家のなどビルトイン型が大多数を占め、賃貸住宅では、普及しているとは言い難い。食洗機を賃貸住宅にも普及させようと、家電メーカー各社が知恵を絞っている。
業界最薄、奥行29センチの食洗機
「奥行29センチの食洗機を作れば、今まで置きたくても置けなかった人たちが使えることが分かりましたが、では単に小型化すれば良いというわけではありませんでした」(宮本さん)。新しい食洗機の購買層の大多数を占めるであろう賃貸住宅の住民向けに、容量は確保しつつ、現行モデル同様の高い洗浄力や除菌機能も維持した。
このスリム設計を実現した立役者の1つが、新機構「リフトアップオープンドア」だ。フィールド調査で分かった、食洗機の扉を開くときにシンクの蛇口に当たるという問題を、ドアをガルウィングのように上に開くことで解決した。
2018年の開発開始から約3年を経て、21年11月に「スリム食洗機(NP-TSK1)」を発売。レギュラータイプ(NP-TZ300)と比較して、本体奥行を約5センチ減らした、業界最薄の約29センチの食洗機の売れ行きは、コロナ禍での発売ながらも当初の推定の約2倍だという。
購入者からは「やっとうちにも置けた」「小さいのに意外とたくさん入る」「手洗いには戻れない」といった声が寄せられており、宮本さんは、「狙った通りの反響ではありましたが、これだけ置きたくても置けない人がいたんだという驚きも大きかったです」と話す。パナソニックの食洗機の売り上げは、20年度と21年度を比較すると、104%に伸長したという。
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